600米ドル超の下落
米中報復合戦で懸念拡大
■8月23日の米国株式市場は、中国の報復関税とそれに対する米国の報復意向を受けて大きく下落しました。NYダウは前日比▲623.34米ドル(▲2.4%)下落し、25,628.90ドルで引けました。また、低下傾向にあったVIX指数は19.9と再び上昇しました。リスク回避の流れにより円高・米ドル安が進行し、米ドル/円レートも本日朝に1米ドル105円程度で推移しています。週明けの日本株も大きく下落しています。
企業の投資マインドは後退
米中協議の合意見通しが不透明に
■23日に米中が発表した制裁関税は、中国が750億米ドル相当の米国製品へ5~10%の追加関税を課す一方、米国はこれまでに課した追加関税や今後課す予定の追加関税の税率をさらに5%高めることなどです。
■今回の米国による中国への追加関税の発動による世界経済への影響を見ると、弊社試算では▲0.1~▲0.2%程度と極端に大きな数値ではありません。しかし、9月に開催が期待される米中の閣僚級協議や米中間の合意が一段と難しくなると見られます。また、これまでの追加関税の応酬や中国の有力テクノロジー企業との取引規制などによって、企業の投資などに対する意思決定が先送りされていますが、更に先送りされると考えられます。
相対的に高利回り資産へのシフトが続こう
■これまでの米中追加関税や取引規制により、世界経済は不況感が強まると見られる3%成長へ既に接近しています。景気に対する不確実性が高まる難しい状況ですが、主要中銀が金融緩和に舵を切っており、財政政策の積極化も期待されます。今後は一段と政策が強化されることで、世界経済の成長は維持されると思われます。
■もっとも、世界経済が底打ちから回復に向かうタイミングが更に先に延びることは避けられず、成長加速が望ましい景気敏感株にとっては逆風が続くと見られます。こうした中、株式の中でも景気変動の影響が低く、配当を増加させることが可能な企業や、利回りが相対的に高い資産への資金シフトが続くと考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米中ともに追加関税の引き上げを発表』を参照)。
(2019年8月26日)
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