利下げ実施国・地域が急増
ユーロ圏なども利下げ織り込み進む
■足元では、各国・地域が相次いで利下げに踏み切っており、「利下げドミノ」とも呼べる状況になっています。7~8月(22日まで)は、米国や豪州、ブラジル、メキシコ、インドなどが利下げを実施しました。
■主要国・地域では、ユーロ圏や日本などはまだ利下げに踏み切っていませんが、市場では利下げの織り込みが進んでいます。
米金融政策の転換が背景
利上げ→金利据え置き→利下げ
■背景には、米中貿易摩擦などに起因した世界的な景気減速懸念が強まるなか、基軸通貨国である米国が金融政策を転換したことがあります。米連邦準備制度理事会(FRB)は、18年12月までは利上げを実施してきましたが、19年1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を当面据え置く方針を示唆しました。
■その後、6月にパウエルFRB議長が講演で「適切に行動する」と表明し、7月のFOMCで利下げに踏み切りました。半年強で金融政策の方向性が180度変わったことになります。
FRB議長の米ジャクソンホールでの講演に注目
■一般的に、利下げは国債に加え、株式や社債、リートなどへの資金流入を促すとされており、こうしたリスク資産にもポジティブに作用するといわれています。
■今後の展開次第では、利下げを実施する国・地域がさらに増加する可能性があるほか、利下げ実施国・地域の利下げ回数が増える可能性があります。
■注目されるのが、米国の今後の金融政策です。FRBの利下げが、FRBの意図する予防的な利下げとなるか、それとも本格的な利下げとなるかが当面の焦点になるとみられます。米国のジャクソンホールで本日、開催が予定されているパウエルFRB議長の講演に注目が集まります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米金融政策のハト派化が背景、FRB議長講演に注目』を参照)。
(2019年8月23日)
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