リスク回避の動きの中、円高が進む

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

米中貿易戦争の激化が懸念され、リスク回避の動きが強まる中、主要通貨に対して円高が進行しています。またこうした環境下、各国のインフレ率が安定し利下げ余地が生まれたことから、景気下支えのため多くの国で利下げが実施または利下げの実施が予想されており、このことも通貨安に繋がっています。

リスク回避の動きが強まる中、主要通貨に対して円が上昇

主要通貨に対して円高が足元、急速に進行しています(図表1、2参照)。

 

[図表1]ドル円レート、ユーロ円レート為替の推移 日次、期間:2019年1月4日~2019年8月5日 ※対顧客電信売買相場 出所:ブルームバーグを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ドル円レート、ユーロ円レート為替の推移
日次、期間:2019年1月4日~2019年8月5日
※対顧客電信売買相場
出所:ブルームバーグを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

[図表2]主要通貨の騰落率(対円) ※過去1年:2018年8月3日~2019年8月5日 ※対顧客電信売買相場の仲値を使用して計算 出所:ブルームバーグを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]主要通貨の騰落率(対円)
※過去1年:2018年8月3日~2019年8月5日
※対顧客電信売買相場の仲値を使用して計算
出所:ブルームバーグを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

ドル円レートは2019年8月5日、1ドル=106円35銭となっており、2019年8月1日の109円27銭から2円92銭の円高となっています。またユーロ円レートも2019年8月1日の1ユーロ=120円56銭から2019年8月5日現在、2円25銭円高・ユーロ安の1ユーロ=118円31銭となっています。

 

為替市場で円高が進行した背景には、2019年8月1日に米トランプ大統領がツイッターで9月1日より中国からの輸入品3,000億ドル分を対象とした追加関税を発動すると表明、中国も即座に必要な対抗措置を取ると表明したことから米中貿易戦争の激化が懸念され、リスク回避の動きが強まったことが挙げられます。

 

また米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が0.25%の利下げを決定した7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で今回の利下げが長期にわたる利下げの始まりではないと説明したことも世界の株式市場にとってマイナス要因となったことも影響していると見られます。

 

主要通貨は足元、全般的に円に対して下落していますが、資源国や新興国の通貨は米ドルやユーロ、英ポンドなどの国際通貨に比べ下落率が大きくなっています(図表2参照)。

 

なお、過去1年では円に対しては下落していますが、英ポンド、南アフリカランド、豪ドルなどの一部通貨を除き米ドルに対しては比較的安定して推移していました。

 

 

※文章中の為替レートは対顧客電信売買相場の仲値

多くの国が景気減速への対応のため利下げを実施、通貨安要因に

米国が利下げを実施しましたが、米国以外の中央銀行のいくつかは、インフレ率が低下したことで利下げ余地が生まれたことから、景気減速への対応のために利下げを実施、または実施が予想されており、通貨の下落につながっています(図表3参照)。

 

[図表3]主要国の政策金利の推移 2018年12月31日、2019年8月5日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]主要国の政策金利の推移
2018年12月31日、2019年8月5日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

オーストラリアは2019年6月、7月と2会合連続で計0.5%の利下げを実施し政策金利を過去最低の1%としています。オーストラリア経済は米中貿易戦争の世界経済に対する影響が懸念される中で成長が鈍化しています。

 

一時的に住宅市場が低調となったことを受けて家計の景況感が悪化し、個人消費が重石となっています。8月は利下げを停止する見通しですが、オーストラリア準備銀行は必要なら再度利下げの用意があるとしており、市場では年内の追加利下げ実施を見込んでいます。

 

 

ニュージーランドは、2019年8月7日の金融政策決定会合での利下げが見込まれています。世界経済の減速が同国の貿易に与える影響や住宅価格の下落、企業の慎重なセンチメントなどが同国経済にとってマイナスとなるとの見方が、利下げ観測の背景となっています。

 

オーストラリアやニュージーランド以外の国についても、米ドルに対する自国通貨の上昇と輸出競争力の低下を回避するため、米国の利下げに追随せざるを得ず、通貨下落につながっている可能性があると考えます。

 

特に利下げ余地の大きな国ほど、利下げに伴い通貨が調整するリスクがあると考えられます。加えて資源国、新興国の通貨は国際通貨に比べ取引量が少ないことから、為替レートの変動が大きくなる傾向があり、リスク回避局面で相対的に下落率が大きくなる可能性がある点には注意が必要です(図表4参照)。

 

[図表4]為替市場における通貨別取引シェア 2016年4月の1日あたり平均取引高 出所:BIS(国際決済銀行)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表4]為替市場における通貨別取引シェア
2016年4月の1日あたり平均取引高
出所:BIS(国際決済銀行)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『リスク回避の動きの中、円高が進む』を参照)。

 

 

(2019年8月6日)

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケット情報

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧