ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

投資のリターンの分解:α(アルファ)とβ(ベータ)

投資で得られるリターンは、α(アルファ)とβ(ベータ)に分解することができます。βはそれぞれの資産(市場)から得られるリターンのことを指します。αとは銘柄選択や投資比率の変更、新たな投資戦略の導入等によって追加的に得られるリターン(超過リターン)のことです。言い換えれば、βは市場全体のリターン、ポートフォリオのリターンとβの差がαです。

投資リターンはどこから来るのでしょう?

近年、先進国経済の成長率の低下に伴い、先進国債券や先進国株式といった伝統的な資産から得られる平均的なリターン(β)は低下してきています。こうした投資環境の中で、伝統的な資産からのβに依存しない運用のニーズが大きくなってきており、「オルタナティブ投資」が注目されています。

 

 

オルタナティブ投資とは

オルタナティブ投資は株式市場や債券市場といった伝統的な資産のβとは異なるリターンを得ようとするもので、


①金、未公開株式、私募債券、現物不動産などのような非伝統的な資産への投資
②絶対収益型投資戦略

 

に大別することができます。


オルタナティブ投資を上手く活用することで、市場の下落時や軟調期にも安定的にリターンをあげたり、伝統的な資産のみで構成されたポートフォリオのリスク・リターン特性を改善したりすることが可能になります。


※βは元々係数を表すものですが、今では転じて市場リターンそのものを表す言葉としても使われています。当資料内ではβを市場リターンを表す言葉として使用しています。


※αは元々その投資対象だけが持つ一定のリターンを表すもので時間の経過とともに変動する性質のものではありませんが、ここでは市場リターンを差し引いた残りのリターン全てを表す言葉として使用します。したがって、短期的にも長期的にも、またプラスにもマイナスにも変動することが前提です。

 

[図表1]投資リターンの分解
[図表1]投資リターンの分解


ポートフォリオのリターンを6%、市場全体の平均的なリターン(β)を4%とすると、当ポートフォリオにおける銘柄選択や投資比率の変更、新たな投資戦略の導入等によって追加的に得られるリターン(α)は2%となります。

βの低下とオルタナティブ運用へのニーズ拡大

先進国の経済成長率の低下に伴い、先進国株式のリターンや先進国国債の利回りは大きく低下してきました。これでは、伝統的な資産で運用する限り、アクティブ運用でβ+αに期待するにせよ、インデックス運用により低コストでβを得ようとするにせよ、そのβが小さくなっている以上、得られるリターンは必然的に低下してしまいます。

 

[図表2]伝統的資産のβの低下
[図表2]伝統的資産のβの低下


このような投資環境の中、伝統的な資産のβに依存しないオルタナティブ運用へのニーズが高まってきているのです。
 

[図表3]先進国の経済成長率、株式リターン、国債利回りの推移 月次、期間:1991年12月~2016年12月 ※先進国経済成長率:IMFの定義による先進国の実質経済成長率の10年移動平均、先進国株式リターン:MSCIワールド指数(現地通貨ベース、配当込み)の月次リターン(年率換算)の10年移動平均(幾何平均)、先進国国債利回り:JPモルガンGBIグローバル指数の利回り 出所:IMF、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ※ MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。
[図表3]先進国の経済成長率、株式リターン、国債利回りの推移
月次、期間:1991年12月~2016年12月
※先進国経済成長率:IMFの定義による先進国の実質経済成長率の10年移動平均、先進国株式リターン:MSCIワールド指数(現地通貨ベース、配当込み)の月次リターン(年率換算)の10年移動平均(幾何平均)、先進国国債利回り:JPモルガンGBIグローバル指数の利回り
出所:IMF、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※ MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識オルタナティブ編(1)<投資のリターンの分解>』を参照)。

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録