高成長を遂げているアジア新興国への投資に特化した、先駆的な運用管理会社「アジア・フロンティア・キャピタル・リミテッド」。同社においてCEO兼ファンドマネージャーを務めるトーマス・ハガー氏へのインタビュー。第3回目のテーマは「ファンダメンタル・リサーチの重要性」。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウェルス・リミテッド(NWB/日本ウェルス)の幾田朋彦氏である。

フロンティア市場投資で特に気をつけたいリスクとは?

幾田 ベトナムとバングラデシュについて、もう少しお聞かせ頂けますか?

 

トーマス ベトナムは9000万人、バングラデシュは1億5500万人の人口をかかえていて、両国を合わせるとインドネシアと同等の人口です。バングラデシュの平均年齢は22歳、ベトナムは25歳と、若い労働人口が豊富です。

 

 

両国の若者達は貧しい生活をしているため、生きていくために働くことがいかに必要か認識しており、他のアジア諸国より勤勉な労働力が豊富です。両国に対する成長期待は非常に高いです。

 

幾田 投資対象として魅力度の高い国々ですが、流動性が低かったり、公開情報が限られていたりと、リスクについても理解する必要があります。フロンティア市場に投資するうえで、どのようなリスクを理解し、そのリスクにどう対応すべきか教えて頂けますか。

 

トーマス まず、フロンティア市場に投資するにあたって、非常にユニークな市場や特異な規制を理解する必要があります。そして、投資する企業を選別する上で、他の市場よりファンダメンタル・リサーチが非常に大きな役割を占めます。

 

先進国の市場に上場している企業に比べて、公開されている決算報告書など入手できる情報が非常に限られています。ですから、実際に企業を訪問するなどして自ら信頼できる情報を入手するなど、リサーチ力が鍵となります。

 

また、政府の政策や規制の変更にも注意する必要があります。バングラデシュのガス会社で実際にあったことですが、政府は突然このガス会社に対し収益源を変更する方針を打ち出しました。その結果、この企業の純収益は一晩で90%の減益となりました。先進国市場に上場する企業では考えられないことです。

 

この様なことが起こっても、ポートフォリオ全体においては大きな損失とならないように、銘柄ならびにセクターにおける分散投資が非常に重要です。

投資対象国への「実際の訪問」はやはり不可欠

幾田 フロンティア市場の投資において、ファンダメンタル・リサーチが重要なことがよくわかりました。リサーチも先進国に比べて難しいと思いますが、どのように行っているのですか? 実際に、投資対象となっている国を訪問するのですか?

 

トーマス そうです、実際に訪問しています。昨年は、私自身とチームのメンバーで、モンゴル、カンボジア、ベトナム、バンクラデシュ、スリランカ、ミャンマーの6カ国で企業訪問を行いました。また、来月は私がイランに行き、ロンドンを拠点にしているイラク人の同僚が、イラクも訪問しています。

 

 

本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、アジア・フロンティア・キャピタル・リミテッドおよびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

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