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「新しい家」が好まれる日本の不動産市場
すぐに「ドイツ不動産投資」のお話に入っていきたいのですが、しっかりと基礎から理解していただくためには、日本と海外での不動産の状況と不動産投資の違いについて押さえておく必要があります。
また、海外と一口に言っても、アジアと欧米では大きく違いますし、国ごと、地域ごとでもいろいろな違いがあります。まずは日本を含めたアジアと欧米の不動産事情について、比較しながら見てみましょう。
最も大きな違いは、アジアでは日本も含めて新しい家が好まれるのに対して、ヨーロッパやアメリカの人たちは、もちろん新しい家も好きなのですが、古い家を手入れしながら長く使っていくというのが当たり前という考え方があります。
なぜその違いがあるのかというと、ヨーロッパでは18世紀にイギリスで産業革命が起き
て、19世紀にはドイツにも広がり、それから石造りの堅固な建物が普及しました。そして、それからは築100年ものの家も、基本的には今の家と作りが変わっていません。
もちろん、今の家のほうが気密性に優れているとかで快適ですが、天井の高さや部屋の広さなどは変わっていません。ヨーロッパではかなり前から窓に複層ガラスを採用していましたし。
つまり、ヨーロッパでは古くからクオリティが高い住宅が作られていたということです。その理由は、中世のお城などの何百年も使える建物が見本として存在していたことと、湿度と気温の低い気候、地震の少なさでしょう。
何より、ヨーロッパの多くの国は日本より緯度が高いため、冬になると夜が長く、家にいる時間が長くなります。そのため、家の中でいかに快適に過ごすかが重要な課題になります。そこで寒さをしのぐ暖かさや圧迫感のない天井高が求められたのでしょう。
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ところが、日本を含むアジアは反対で、夏をいかに風通し良く過ごすかが重視されてきました。気候が温暖なので、寒いのは何とかなりますから、エアコンのない時代は暑さをいかにしのぐかが問題だったのです。
ですから、アジアの建物は雨風を防ぐと同時に、風通しが良く、湿気をいかに逃がすかを工夫された作りになっています。一般の人々の住宅は予算に限りがありますので、耐久性に難があり、100年も使い続けるようには作られていません。そのような住宅事情で長く暮らしてきたアジアの人たちは、古い建物を大事に使うより、古くなったら壊して建て直すという文化を築いてきました。
つまり、日本を含むアジアと欧米の不動産に対する感覚を比較すると、アジアは古いものを嫌がり新しいものを求める傾向が強いのに対して、欧米はそれほど古いものを嫌がらないという傾向があることがわかります。これは不動産投資を考えるときに、最初に意識しておくべきポイントです。
「震度7まで倒壊しない」ことが耐震基準に
さらに、アジアには特有の事情があります。それは、日本を先頭にして急速に西欧化が進んだということです。たとえば日本を見てみると、1960年代からアパート、マンションが登場し、エアコンの普及とあいまって、住宅がどんどん洋式に変わっていきました。トイレは和式から洋式に変わり、今では和式便器は少数派です。
それに加えて、これは日本独自の現象ですが、地震国ならではの「耐震基準」というものが導入されました。大きな改正が行われたのは1981年で、それ以前の「旧耐震」と呼ばれる基準が「震度5強まで倒壊しない」というものだったのが、「震度7まで倒壊しない」というように厳しくなりました。
たとえば震度7の地震がきたとき、1981年以降の建物はヒビが入るかも知れませんが、建物は潰れたりしません。しかし、それ以前の建物は倒壊する可能性があります。万が一のリスクを考えたとき、この差は大きいはずです。当然、自分と家族の安全を考えた場合、1981年以前で耐震補強していない建物を選ぶ人は少なくなりますね。
急速な西洋化が進行したために、アジアの建物は年々品質が上がることになりました。私が35年前にマンション業界に入ったときは、まだ床はカーペット敷きが普通で、今のようなフローリング全盛ではありませんでした。そして廊下と部屋との間には段差があるのが当たり前で、「バリアフリー」などという考えも普及していませんでした。
それが今のような近代的な住宅になったのは、マンションメーカーが差別化して商売に勝ち残ろうとしたからで、当然のことながら違いを大きく宣伝し、お客様の「古いものはダメ、新しいものがいい」という考えを助長したのです。
実際、私が入社して少し経ったころにフラットフロアが登場し、床もフローリングに変わっていきました。すると、カーペット敷きで段差のあるマンションは「古い」ということになり、売れなくなりました。
ただし、日本のマンションの近代化は、今もどんどん進んでいるわけではありません。2002年に「24時間換気」が義務化になって導入されてからは、日本のマンションに基本的な変化はなく、目先の違いを大きく取り上げて宣伝しているのが実状です。
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床や壁のコンクリートの厚さも、以前は10センチくらいが標準的でしたが、今は20センチが基本です。昔はカーペット敷きだったので音の問題があまり表面化しなかったのですが、床がフローリングになったことで騒音問題が住宅選びの重要項目に浮上してきたのです。
しかし、コストの問題があるので20センチの床が30センチになることはあまり考えられません。ということで、これまで日進月歩で変わってきた日本の集合住宅ですが、2002年以降のものはほとんど同じです。これは不動産業界では画期的なことで、以前は築5年の差は大きかったのですが、今では「2002年以降のものならほとんど同じ」と考えることができるようになりました。つまり、ついに日本の集合住宅が欧米に追いついたということです。
ただし、日本はアジアのトップランナーですから、他のアジアの国々ではまだまだ年ごとの陳腐化が激しく見られます。たとえば中国では、築10年の建物がもう築40年くらいに見えるほどボロボロです。バルコニーの手すりの塗装が剥げたり、外壁が一部崩落していたりしているのも多く見かけます。
他の国でも事情は似たり寄ったりで、タイに行くと築15年ものは「誰が買うの?」と思うほどボロボロです。ミャンマーはカビがひどくて、築3年でもう真っ黒になるものもあります。とにかくアジアは古いものと新しいものの差が見た目で大きいんですね。
これから言えるのは、対アジアの不動産投資は非常に難しいということです。経年劣化が激しい上に、アジアは人口が過剰ですから、国策で新築住宅を買いやすくしています。大きなデベロッパーがいろいろな補助金を受けたり、新築を買うときの税制が優遇されたりしているため、みんな新築に流れます。
そういう流れの中で中長期の保有が前提となる不動産投資で利益を上げるというのは、プロでもなかなか難しいことです。すでにタイやミャンマーの不動産投資はヒートアップしています。割高の物件が出てきているので、今から買ったのでは利益を出すのは難しい物件も多いでしょう。
地元の人はそれをわかっていて、先に手付金だけ打ってたくさんの戸数を押さえたりしています。手付金を入れて様子を見て、儲かりそうなら買って転売し、ダメと思えば手付金を捨てる。現地にいて地元の事情を熟知している人がそういう商売をしているのですから、そこに日本人が入り込む余地は少ないでしょう。
市川 隆久
株式会社国際不動産エージェント 代表取締役
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