70億円儲けた社長が「税務署と裁判で戦え!」というワケは?

今回は、税務署と交渉する際に大切な「徹底対峙」の姿勢について見ていきます。※真面目で誠実という「経営者の鑑」のような社長であっても、事業がうまくいっているとは限りません。本連載では、週6日遊びながらも会社を成長させ、70億円の資産を築いた著者が、「社長が遊ぶほど会社が儲かる」理由と仕組み、「遊びのメソッド」について解説します。

「税務訴訟」まで戦うという気概を持つ

税務署の職員の立場からすると、正面を切って異を唱えてくる納税者というのは、非常にデリケートな存在です。

 

税務調査は、税務署が指摘したことで納税者が自らの間違いを認め、本来払うべきであった税金を算出し直してあらためて納める「修正申告」を理想としています。納税者は自らの誤りを報告するわけですから、後になって異議を述べるわけにはいきません。

 

しかし納税者が税務調査結果を受け入れず、間違いを認めなければ、税務署や国税局が納税額を決め、払わせる「更正」という処分になります。「更正」の場合、納税者は過ちを認めてはいないので、処分結果に不服があれば、異議申し立て、審査請求、そして税務訴訟にまで持ち込むことができます。

 

税務署員としては、修正申告で終わらせたいというのが本音です。更正手続きをする時点で、所属の税務署の副所長や所長、国税局からも決済をもらう必要がでてきて、非常に手間がかかります。だからこそ、税務署の指摘がどうしても納得できない場合、更正を求めたほうが有利になり、譲歩を引きだせます。ちなみに更正は100%の証拠がなければ出せませんので、そこでも税務署側のハードルが上がることになります。

 

税務署員がさらに恐れるのは、税務訴訟にまで発展することです。銀行マンと一緒で、税務署員もまた、出世が最大の関心ごとですが、ひとつの案件が税務訴訟までいってしまうと、「納税者と揉めた」と見なされ、評価が下がります。そしてその記録はずっと残るため、将来に影響を与えかねません。

 

筆者は一度、あまりにも税務署員の態度が悪かったので、徹底的に争うと決めて、更正から異議申し立てを行い、棄却されたため国税不服審判所に訴える、と最後まで戦ったことがありました。なかなか面白い経験でしたが、最も印象に残っているのは、国税不服審判所が「とてもいいところ」だということです。殺伐としているのかと思いきや、こちら側の話に丁寧に耳を傾けてくれ、税務署の横暴に対する愚痴まで聞いてもらえました。

 

税務署の調査がどうしても不服であったなら、社会勉強のひとつと考えて、税務訴訟まで経験するのもいいでしょう。一度経験すると、税務署という組織が回っている仕組みや、考え方のくせなどが見えてくるため、対策がぐっと打ちやすくなり、以後の税務調査は怖くなくなるはずです。

トラブルを起こした経験が交渉の胆力となる

筆者に、銀行や税務署を相手にできる交渉力が備わったのは、遊びの中で磨いたトラブル解決能力のおかげです。

 

ゴルフでいえば、あえてラフにばかり打ち込んで、そこからの脱出を楽しむようなところが、筆者にはあります。それは、トラブルをどこか面白がっている気持ちがあったからだと思います。

 

「ここでこれを言ったらどうなるだろう」

「みんな思っているはずなのに指摘しないけれど、私が言ったら怒るだろうか」

 

そうして、場の空気的にはタブーになっているようなところにも、あえて踏み込んでいくのは、どうなるのかな、という好奇心が勝るのです。

 

「好奇心は猫をも殺す」と言いますが、その通りで、好奇心がトラブルにつながることはしょっちゅうありました。しかし、そこから学ぶことは多かったです。

 

トラブルというのは、普段なかなか遭遇しないからこそ、実際に起きた時に右往左往するものです。トラブルが日常的に起きていると、それが当たり前になり、仕事においても多少のことではまったく動じなくなります。

 

また、「こういう時にはこんなやりとりになるんだ」「こんな時にはこういう言葉が有効なんだ」「相手の痛いところはここなんだ」「ここでお金が必要になるんだ」など、交渉術が磨かれていきます。

 

そしてトラブルをたくさん経験していると、「解決できないものは、ほぼない」というのがわかってきます。その感覚は非常に大切で、それが自信となり、交渉時の胆力の源になります。

 

経営において、危機的状況にある時ほど、迅速な判断とトラブル解決が求められます。戦場で、縮こまり、おろおろしてしまったら真っ先に撃たれてしまうでしょう。生き残るためには、あえて戦火の中に飛び込み、活路を見出すような大胆な行動力が求められます。

 

極限状態になっても、慌てず冷静に対処する胆力は、トラブルを数多く解決することで培われます。遊びの中で起きたトラブルには、積極的に関わってみてはどうでしょう。


 
谷田 育生

株式会社宝輪 代表取締役社長
 

株式会社宝輪 取締役会長

1954年、三重県生まれ。1972年、株式会社宝輪に入社。現場で5年間、ホンダ製バイクの運送業務をとりまとめ、1982年、28歳で代表取締役社長に就任。

以降、運送業務でのノウハウをいかし、事業を拡大する一方、運送市場の広がりに限界を感じ、不動産投資や自動車販売リースなど幅広く事業を展開。それらのビジネスチャンスはすべて本業以外の遊びの時間に獲得している。

「経営者は遊びの中でセンスを磨く」、「経営者は50代で引退」といった独自の経営哲学を持つ。そのため、55歳で事業承継を完了し、現場の第一線を退いた現在は、趣味の釣りやゴルフ、海外旅行などを楽しんでいる。

著者紹介

連載社長が不真面目だと会社は儲かる!遊びをビジネスに変える経営術

社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー

社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー

谷田 育生

幻冬舎メディアコンサルティング

仕事は週1日、しかも午前中だけ。悩める経営者たちよ、仕事より人生を楽しむ「不真面目な社長」であれ 2017年の調査によると、日本の中小企業は国内企業382万社のうち、全体の99.7%を占めています。その経営者であるオーナ…

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