銀行マンと社長の「個人的な信頼関係」はどう作られるのか?

今回は、銀行との付き合い方について見ていきます。※真面目で誠実という「経営者の鑑」のような社長であっても、事業がうまくいっているとは限りません。本連載では、週6日遊びながらも会社を成長させ、70億円の資産を築いた著者が、「社長が遊ぶほど会社が儲かる」理由と仕組み、「遊びのメソッド」について解説します。

銀行との心理戦は「ブラフ」も非常に有効

融資をする上で銀行が最も注目するのは、事業性です。そういうと大げさですが、要はお金を出すことが「納得」できればいいのです。

 

真面目な社長は、事業性を語る際にも、ありのままを誠実にプレゼンしてしまいがちです。しかし、そもそも「事業がこの先どうなるか」など、誰にもわかりません。事業計画も、あくまで、「こういう予定です」と示すものに過ぎません。だったら、わざわざ不安材料を述べたり、リスク要因について熟考したりする必要はないでしょう。

 

本音ではちょっと実現が難しいかなと感じていることでも、どんどん「盛って」いいのです。そうして銀行に、「理想的な将来」を提示し、納得してもらえば、それでオーケーです。

 

また、銀行という組織ではなく、融資担当者という「人間」にスポットを当てて、戦略を立てるのも効果的です。これも遊びの場で学べることですが、どんな職業であっても、人間としての本質が変わることはありません。

 

たとえば、筆者は以前、同じ日の同じ時間に、5つの銀行の担当者を呼んで、それぞれに同じ融資の話を持ち掛けたことがあります。それにより担当者に「この案件を他行には取られたくない」と競う気持ちが生まれ、借りやすくなるという効果を狙ったものでしたが、これが見事に決まって、「あそこで借りるくらいなら、ぜひ私のところに任せてください」とふたりの担当者からいい条件を持ち掛けられました。

 

別の日には、メインバンクを呼んであえて「これまでの借金を全部返したい」と持ち掛けました。もちろんそんなお金がないから借金しているわけですから、これはブラフです。

 

しかし、銀行としては一度に返されてしまうと今後の利息が取れませんから、一括返済は避けたいところです。なのでそこで「では返してください」とは言ってこずに「なぜ全額返すのですか、どうしたのですか」と聞いてきました。そこで筆者は「ちょっと新しい事業を始めるので、これを機に別の銀行から借りようと思う」と伝えました。そうすると担当者は慌てて「その事業はどんなものですか、うちでも融資のご提案をさせてください」と言ってきました。

 

このように、相手の心理を推し量った上での「ブラフ」は、時に極めて有効に働きます。そうした駆け引きの技術は、遊びの中のトラブルの解決を通じて学んだものです。

「お世話になった」と思わせる付き合い方

歴史の長い会社の多くは、メインバンクとの付き合いもまた長いものです。しかしそれゆえに、たとえメインバンクの動きが悪く、融資を渋るようになったとしても、「仕方がない」などと妥協してしまうことがあるようです。

 

繰り返しになりますが、銀行と経営者は、対等の関係です。納得がいかなくなれば、先代からのつながりがあったとしても、遠慮なく変えればいいのです。ただしその場合には、ここまで同行で培われてきた人脈は失われることになります。それを恐れずに銀行と付き合うには、銀行の看板ではなく、銀行マン個人から信頼を得ることを目指すといいでしょう。

 

ひとつ、例を挙げましょう。多くの銀行は、毎年9月が昇給時期であり、そこで栄転なども決まります。

 

ある銀行マンが、「そろそろ転勤かもしれない」というタイミングに差し掛かったとき。筆者はそこで、億単位の融資案件を持っていきました。

 

後日、その銀行マンは筆者のところに来て、「おかげさまで転勤先がよくなりました、ありがとうございました」と頭を下げました。そしてそれ以来、いい情報がある時には、まず筆者に話を持ち掛けてくれるようになりました。

 

銀行マンはサラリーマンですから、組織の中でどう出世するかが最大の関心事項です。融資でいえば、銀行として「お金を貸したい」タイミングに、より大きな融資を行った銀行マンが評価され、そうした実績が出世につながります。

 

ですから、彼らの出世を後押しできるような提案がうまくできれば、個人的な信頼を勝ち得ることも可能です。銀行マンの立場からすれば、もし自分の手元に有望なM&Aや不動産の情報が来たら、まずは「お世話になった」と思っている相手のところに、それを持ち込むはずです。それが、人間の本質なのです。

 

そうして個人的な信頼関係を築いていければ、メインバンクであるかどうかに関わらず、便宜を図ってくれる銀行マンが何人もできてきます。

 

銀行マンとの個人的なつき合いもそうですが、筆者は銀行を自分の会社の財務部だと思うようにしています。

 

そう考えると、銀行が自社の財務部ならとても中小企業では採用できないような優秀な人材が何人もおり、専門的な知識と能力で仕事をしてくれるという夢のような部署です。しかも莫大な資金力を持つ。頼りになる財務部です。そう考えて腹を割って相談すれば、銀行も親身になって対応してくれます。

 

そんな話をすると、よく社長仲間から、そんなに洗いざらい銀行に話してしまうと、自社評価を下げられてしまうのではないか、どこまで親身になって相談するのか、と聞かれます。そもそも銀行は、会社の内容など、ある程度把握しています。それなのによく見せようと飾るとかえって信用を失くしてしまいます。銀行を身内だと考え、前向きな相談をすれば、結果的に、自分が借りたいタイミングで融資を受けられる機会が増え、経営の自由度も上がるはずです。

 

どうせ、銀行と付き合いお金を借りるなら、そういった副次的な要素まで想定した上で、最も〝効果的〟なやり方を模索するといいでしょう。

 


 
谷田 育生

株式会社宝輪 代表取締役社長
 

株式会社宝輪 取締役会長

1954年、三重県生まれ。1972年、株式会社宝輪に入社。現場で5年間、ホンダ製バイクの運送業務をとりまとめ、1982年、28歳で代表取締役社長に就任。

以降、運送業務でのノウハウをいかし、事業を拡大する一方、運送市場の広がりに限界を感じ、不動産投資や自動車販売リースなど幅広く事業を展開。それらのビジネスチャンスはすべて本業以外の遊びの時間に獲得している。

「経営者は遊びの中でセンスを磨く」、「経営者は50代で引退」といった独自の経営哲学を持つ。そのため、55歳で事業承継を完了し、現場の第一線を退いた現在は、趣味の釣りやゴルフ、海外旅行などを楽しんでいる。

著者紹介

連載社長が不真面目だと会社は儲かる!遊びをビジネスに変える経営術

社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー

社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー

谷田 育生

幻冬舎メディアコンサルティング

仕事は週1日、しかも午前中だけ。悩める経営者たちよ、仕事より人生を楽しむ「不真面目な社長」であれ 2017年の調査によると、日本の中小企業は国内企業382万社のうち、全体の99.7%を占めています。その経営者であるオーナ…

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