世界の金融の中心は「ドル」
お金は非常に大切なもの。だからこそ、そのお金のシステムの歴史と内容を正しく把握しないといけませんが、現状や今後のことを考えると、今やっておかなければいけないこと、やるべきことが見えてきます。それは、ドル資産を持つ、ということです。
世界の金融の中心は、ドルが基盤になっていることは明白です。そのドルの金融システムを構築してきたのは、ユダヤ人で、その中でもロスチャイルドが金融システムを確立したといわれています。ロスチャイルドという名前が出てくると、すぐに世界陰謀論などが語られますが、本連載では事実・現実のみに注目し、本質を見通して今後の備えとします。
つまり、陰謀論などの諸説は、ロスチャイルドの陰謀だ、フリーメーソンの陰謀だ、と言ったところで、ではどう対処すれば良いのでしょうか、という最も大事な部分が欠けています。大切なことは、今までの流れを正しく把握・分析して、現在の状況にいかに対処するのか、ということです。
再度申し上げますが、明白なのは、世界の金融の中心はドルであるということです。もちろん、ユーロや、元、円も国際取引決済に使用されていますが、ほとんどがドルです。
為替は金利差の表れでドル金利がこれから上昇していく状況にあって、一方の円は追加緩和を実行する状況を考えれば、さらにドル高=円安になるのは、当たり前の話です。そんなわかりきったことを論議するのではなく、そうなる前あるいはそうなった時に備えてどう対処・対応するべきなのか、を考え、実行することが一番大切なのです。円安=ドル高になるのは明らかですから、円をドルに替えておくことも一案です。とすれば、ドル預金口座をアメリカの銀行で開設しておくべきかと思います(日本国内の銀行の外貨預金口座ではありません)。
日本は海外との係わり合いが増えています。これからも経済を中心に海外との取引・結びつきがますます増えていくことは明らかです。世界のビジネス取引において、決済通貨はドルがほとんどですので、ドルの重要性・必要性はどんどん高まっていきます。
以上のことから、将来に備えるため、資産は円だけで所有するのは極めて危ない、心配であるといえます。よく投資や資産は分散すべき、といわれますが、分散するにあたり中心となる通貨・資産をしっかりと考えるべきです。それは何か。ずばり、ドルです。具体的には、
①ドル現金預金口座(アメリカの銀行のドル預金口座。日本の銀行の外貨預金ではありません)
②アメリカ不動産
の2つですが、現物資産として、もうひとつ金(ゴールド)もお勧めしたいです。
なかなか日本の円口座や不動産を離れて、ドルやアメリカに目を移すことは難しいと思いますが、たとえば、ドル安=円高の際に、円をドルに替えてドル預金口座に入れておけば、円が必要なときにはドルから円に交換すればいいわけです。アメリカ不動産も節税目的であっても収益を生みますので、その収益はドル預金口座に入金されます。アメリカのドル口座と日本の円口座をリンクさせておけば、いつでも交換可能、引き出し可能になります。
今後のことも考えれば、資産の70~75%、約4分の3はドルで、残りの4分の1、25%前後を円で所有するのがベストと思料します。最初はどうしても心配だという方は、まず25%前後をドル、75%前後を円でという比率で始められて、この比率をそれぞれ半分の50%ずつにし、いずれドル75%・円25%にしていけばと思います。
円の保有リスクを高める日本の国債問題
資産を円で所有していて心配になるのは、日本の国債問題です。つまり国の借金が借入金も含めると、2015年3月末時点で1053兆3572億円でとうとう1000兆円を超えたという国の借金問題です。
毎年歳入で歳出を補い切れない日本の国家予算(毎年42兆円以上の国債発行)では、あと6年~7年で借金と金融純資産が逆転してしまうといわれています。
「金融純資産」とは、国民の金融資産約1600兆円からローンなどを差し引いた純資産で、約1300兆円ほど。また、最近BIS(国際決済銀行)が日本の国債を保有していれば、自己資本の積み増しを検討している、とのことで、そうなれば、日本の銀行は保有国債を売却していくことになります。金利は上昇しますので、日本の国債の利払いが増加することになり、その分また追加で国債を発行することにつながり、ますます借金は増え、金融純資産でカバーできる期間が短くなります。
この日本の国債・借金問題はいずれ大問題になって表面化するものと思われます。そんな借金・国債問題を抱えている通貨、円と円資産だけを所有していることに不安を覚えませんか? もちろん、知恵を振りしぼってこの難題を解決することを期待しますが、問題解決に至らない時、大問題になるのは必至です。その時になってあわてないように、今から準備することをお勧めします。