ハイイールド社債は堅調推移
国債との利回り格差も安定的
■グローバル・ハイイールド社債のトータル・リターン指数は足元で堅調に推移しています。5月9日までの年初来騰落率をみると、世界国債が+1.8%にとどまっているのに対して、グローバル・ハイイールド社債は+7.3%と大きく上昇しています。
■社債スプレッド(社債と国債の利回り格差)は昨年、急拡大しましたが、今年の年初にピークをつけたあと縮小に転じ、足元は安定的に推移しています。
ハイイールド社債のパフォーマンス
相対的に高い利回りが魅力
FRBの利上げ停止も追い風に
■ハイイールド社債が堅調に推移している背景として、米中貿易摩擦緩和への期待感が広がったことや、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを停止するとの方針を表明したことにより、リスク回避の姿勢が後退したことがあげられます。また、世界的にインフレが落ちついていることも追い風です。
■こうした中、相対的に利回りの高い社債への選好が強まったと考えられます。しかも、企業業績が底堅く推移し、デフォルト(債務不履行)率が低位で安定していることも、ハイイールド社債への関心を高めているとみられます。
ハイイールド社債と国債の利回り格差
今後も底堅い展開が続こう
■2019年の世界経済は、米中貿易摩擦の影響はあるものの、米国や中国を中心に緩やかな成長が続くと予想されます。米国においては、緩やかな景気拡大に加えて、インフレの落ち着きなどから、FRBはハト派的な政策姿勢を続ける見込みです。そうした中で、企業業績も底堅く推移することが予想されます。
■米中貿易交渉の動向などには引き続き注意を払う必要がありますが、以上のような状況を踏まえると、今後もハイイールド社債市場は底堅い展開が想定されます。世界的に低金利環境が長期化している中で、相対的に利回りの高いハイイールド社債への資金流入が継続することが予想されます。
(2019年5月10日)
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