メキシコペソは対ドルで底堅い
■5月10日、トランプ米大統領は2,000億米ドル相当の中国製品に対する追加関税の引き上げを行いました。これを受けて金融市場ではリスク回避的な動きが強まり、株式や新興国通貨などが売られています。
■そのような環境下、メキシコペソは比較的底堅く推移しています。円高進展のため対円では下落していますが、他の新興国通貨が下落幅を広げる中で、年初から概ね1米ドル=18ペソ台後半から19ペソ台前半で推移しています。メキシコの堅調なファンダメンタルズと高金利が背景にあります。
メキシコペソ(対円、対米ドル)の推移
堅調な財政状況
高い金利水準がペソを下支え
■メキシコでは国営石油会社への財政支援が負担となっている中、政府は財政規律を重視する姿勢を示しています。新政権が国会に提出した2019年予算案では、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の見通しを対GDP比1.0%の黒字としています。国際通貨基金(IMF)による2019年の予想では、メキシコは1.5%のプラスが見込まれています。
■メキシコは堅調な財政状況のもと、メキシコより低い信用格付けの国と比べて高い金利水準となっています。あわせて、インフレが4%台で推移する中、8%台の金利水準は魅力的とみられます。
メキシコ基礎的財政収支(対GDP比)
米中貿易協議の動向には注意が必要も、底堅い推移を予想
■今後のペソについては、引き続き底堅い推移を想定します。米国を初めとした世界的な金融政策正常化の休止を受けて、他の新興国通貨とともにペソも下支えされると考えられます。
■ただし、米中貿易協議が難航した場合は金融市場におけるリスク選好の動きが後退し、ペソへの売り圧力となるため注意が必要です。
(2019年5月13日)
関連マーケットレポート
2019年5月 9日 メキシコマーケット ウィークリー(2019/5/9)
2019年4月17日 堅調続くメキシコ国債(2019年4月)