Jリートは堅調に推移
NAV倍率は緩やかに上昇
■Jリート市場は堅調に推移しています。3月の東証REIT指数は前月比で3.1%上昇しました。東証株価指数(TOPIX)が同1.0%下落したのとは対照的です。Jリート市場が堅調に推移している背景は、米国の金融政策が緩和方向に転換したことが明確に示され、米国や日本の長期金利の低下が進んだことです。一方、NAV倍率(リート価格が保有不動産の正味価値に比べて何倍かを示す指標)は、3月末で1.13倍と、直近で東証REIT指数が底値を付けた2017年10月以降の平均1.1倍と比べても割高感はありません。
東証REIT指数とNAV倍率の推移
配当利回りは概ね4%前後
国債との利回り格差が魅力
■3月の東証REIT指数の予想配当利回りは3.89%と、2月の4.00%から低下しました。ただ、10年国債利回りが2月の▲0.02%から3月には▲0.08%に低下したため、Jリートとの配当利回り差は3.97%と引き続き高い水準です。Jリートの高い利回りは依然魅力的な水準であると思われます。
東証REIT指数と配当利回りの推移
オフィス市況の息の長い回復を背景に堅調な展開が続こう
■3月の東京都心5区のオフィスビル空室率は1.78%と、引き続き低水準で推移しています。平均賃料は63カ月連続の上昇と上昇基調が続いています。好調な不動産市況は、Jリートの後押し要因になると思われます。
■業績はオフィス系リートを中心に緩やかに拡大すると見られます。2020年にオフィスビルの新規供給量が増加する見通しですが、国内企業の業績が底堅く、業務効率の改善などを目的としたオフィス需要等が高まっていることから、オフィス市況は息の長い回復が見込まれます。日銀が緩和的な金融政策を維持すると予想される中、長期金利は低位で推移すると見られ、安定的な収益が見込まれるJリート市場には引き続き資金が流入する展開が期待されます。
(2019年4月12日)
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