昨年後半の下落幅をほぼ埋める
「情報技術」は史上最高値更新
■米国株式市場は堅調です。S&P500種指数の上昇率は昨年12月24日の安値から4月10日までで+22.8%となりました。S&P500種指数の中で時価総額比率が最も高い「情報技術」セクターは4月10日に最高値を更新し、同+32.5%を記録しました。ウエイトは低いものの、「公益」は3月26日に、「不動産」は4月5日にそれぞれ最高値を更新しました。(「情報技術」の時価総額比率は21.5%、「公益」は3.2%、「不動産」は3.1%。4月10日現在)。
S&P500種指数の主要セクター
S&P500種指数に割高感はない
「ヘルスケア」、「金融」に水準訂正の余地
■予想株価収益率を見ると、S&P500種指数は16.8倍と2016年以降の平均値(16.8倍)と同じです(4月10日)。ここまでの好調さをけん引した「情報技術」は19.0倍と平均+1標準偏差の18.2倍を上回っています。また、時価総額比率上位の「ヘルスケア」は15.6倍(平均値15.6倍)、「金融」は11.6倍(平均値13.1倍)と過去の水準に比べて割高感はなく、水準訂正の余地があると考えられます。
予想株価収益率の推移
主要セクターのリビジョンインデックス
業績の回復期待が引き続き株価をけん引しよう
■米国株式市場は、業績の回復期待が株価をけん引すると思われます。今後、主要企業の1-3月期決算の発表が本格化します。業績予想の勢い(モメンタム)を見るリビジョンインデックスは、1月を底に上昇傾向にあります。特に「情報技術」は堅調で、株価上昇の裏付けとなっています。「ヘルスケア」も戻りに勢いがあります。「金融」は、長短金利が一時逆転したことが嫌気され、足元でモメンタムが悪化しています。しかし、金融政策の緩和方向への転換は住宅や建設投資などを刺激することで景気をサポートすると期待され、年後半に向け業績の改善が期待されます。また、中国の金融業界の対外開放が進み始めたことも、米金融業界にプラスに作用する可能性があり、注目されます。
(2019年4月11日)
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