2019年の世界経済の成長率見通しは▲0.2ポイント下方修正
先進国、新興国ともに下方修正が続く
■9日に発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、2019年の世界経済の成長率が3.3%と、今年1月時点の見通しから▲0.2ポイント下方修正されました。昨年10月時点および今年1月時点でもそれぞれ▲0.2ポイントずつ引き下げられており、3回連続での下方修正となりました。
■国・地域別では、先進国が▲0.2ポイント、新興国が▲0.1ポイント下方修正されました。先進国では、特にユーロ圏が▲0.3ポイント(ドイツ▲0.5ポイント、フランス▲0.2ポイント、イタリア▲0.5ポイント)、英国が▲0.3ポイントと、欧州が大きく下方修正されました。米国は政府機関の一部閉鎖などを受けて▲0.2ポイント下方修正されました。新興国では、ブラジルが▲0.4ポイント、メキシコが▲0.5ポイントと大きく下方修正された一方、中国が0.1ポイント上方修正されました。
減速傾向が目立つ欧州
貿易摩擦激化やBrexitなどが世界経済の下振れリスクに
■今回の見通しでは、ドイツで個人消費が軟調なことや、排ガス規制強化により自動車生産が伸び悩んでいることに加え、イタリアで財政リスクを反映して内需が落ち込んでいること、フランスで抗議デモが続いていること、英国で欧州連合(EU)離脱(Brexit)をめぐる不透明感が広がっていることなどが下方修正の理由として挙げられています。
■また、IMFは世界経済のさらなる下振れリスクとして、米中貿易摩擦の激化や、英国が合意なしのBrexitに踏み切る可能性などを指摘しました。
IMF世界経済見通し
IMFは2019年後半からの景気持ち直しを予想
■IMFは上述の下振れリスクに言及しつつも、メインシナリオとしては、中国が景気刺激策を強化したことや、最近の金融市場のセンチメントに改善がみられることなどから、2019年後半から2020年にかけて景気が持ち直すと予想しています。米中貿易交渉やBrexitの行方には注意が必要とみられますが、そうしたリスク要因に落ち着きがみられれば、IMFの見通しどおり、景気は持ち直しに向かう可能性が高いと考えられます。
(2019年4月10日)
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