財政政策等の景気対策により各国通貨は底堅い見込み

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

米利上げ観測後退や米中貿易交渉の進展に期待

 

■中国人民元やインドルピー、インドネシアルピアといったアジア新興国の通貨の対円レートは、昨年の下落トレンドを脱し、足元で上昇傾向となっています。

 

■年明け以降では、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ打ち止めなどハト派的な姿勢に転じたほか、米中貿易協議では進展期待が高まった模様で、交渉期限と関税引き上げが延期されました。このように、アジア新興国通貨の重石となっていた材料が薄れてきたことが足元の上昇傾向の背景にあります。

 

アジア新興国通貨の動向

(注1)データは2017年12月29日~2019年3月7日。 (注2)データは円ベースで作成、2017年12月29日を100として指数化。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)データは2017年12月29日~2019年3月7日。
(注2)データは円ベースで作成、2017年12月29日を100として指数化。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

人民元やインドルピーは底堅い推移が見込まれる

 

■中国では、中国人民銀行が年明けの米ドル安局面において、人民元の対米ドル基準レートを元高方向に設定しました。これは元安期待が進展すると資本流出のペースが加速するという悪循環を回避するためだと思われます。中国では現在、全国人民代表大会が開かれており、政府は大型減税を発表するなど積極的な財政政策方針を示し、景気を下支えする姿勢を示しています。また金融政策では、穏健な方針のもと、緩和バイアスが継続されると見込まれます。こうした財政政策や金融政策により、中国景気は持ち直すと考えられ、中国人民元は底堅く推移すると見られます。

 

■インドでは、2月にインド準備銀行(RBI)が利下げを行い、今後の金融政策の姿勢について引き締めから中立へと変更しました。RBIはインフレ見通しも引き下げており、4月の次回会合で追加利下げが行われる可能性が高いと見られることから、金融市場への資金流入の期待がインドルピーを支えると見られます。一方で、2月中旬からインドとパキスタンの関係が悪化していることや、4月~5月に予定される総選挙で与党の苦戦が予想されていることはインドルピーの上値を抑えそうです。中期的には、政策支援等により景気の勢いが徐々に持ち直し、インドルピー高が続くと見込まれます。

 

■インドネシアでは、消費の成長率が比較的低いことから、市場では利下げを見込む向きがあります。しかし、インドネシア中央銀行は「米国の利上げ観測の後退を認識しているもののタカ派姿勢を続ける」と利下げをけん制する動きを続けています。このため、政策金利は当面据え置かれると予想され、インドネシアルピアは一進一退の展開が予想されます。4月に総選挙が予定されている中、選挙戦を通じて消費の成長見通しが好転する可能性があり、インドネシア経済の安定性を高めることとなるか注目されます。

 

 

(2019年3月8日)

 

関連マーケットレポート

2019年3月7日 印・パ対立激化のインド市場への影響
2019年3月5日 2019年の中国『全人代』の注目点

 

 

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調査部は、総勢20名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友アセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約900本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2016年度実績)。

※三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問は4月1日に合併し、三井住友DSアセットマネジメントになりました。

著者紹介

連載【デイリー】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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