中国株式市場の推移
上海総合指数とMSCIチャイナ指数
2月の中国株は大幅高
■2月の中国株式市場は総じて大きく上昇しました。米中通商協議が進展し、米国の追加関税引き上げが延期されたことや、中国政府の景気対策期待から、投資家のリスク選好姿勢が強まりました。米指数算出会社MSCIが、「新興国株指数」に採用している中国本土A株の組み入れ比率を拡大するとの期待も相場を押し上げました。代表的な株価指数の上海総合指数は月末に2,940ポイントで終了し、昨年6月以来の高値水準となりました。セクター別では米中通商協議の進展期待などから情報技術などが大幅高となりました。
全人代では経済成長の質向上を目指す
■李克強首相は3月5日に始まった全国人民代表大会(全人代)で政府活動報告を行い、2019年の経済成長率目標を6.0~6.5%に設定し、2018年の6.5%前後から引き下げました。李首相は、成長率引き下げは、質の高い経済発展を目指す政府の方針を反映していると述べ、産業の高度化を通じて経済成長の質向上を志向していることを示しました。また、政府は、より積極的な財政政策の方針と、金融政策については「穏健」とする方針を確認し、景気を下振れさせない意図を明らかにしました。
当面は一進一退の展開、中長期的には上昇へ
■株式市場は、急激な相場上昇後でもあり、短期的には現状水準での一進一退の展開が予想されます。ただし、中国政府による景気刺激策により、年後半から景気は緩やかに持ち直すとみられます。また、全人代で打ち出された経済運営方針は、構造的問題解消のためのデレバレッジ方針を維持しつつ、EV化など環境対応、5G、AI、IoTの推進など産業の高度化を同時並行で進める政策です。持続的な経済成長実現には整合的と考えられ、中長期的な株式市場の上昇につながると期待されます。米MSCIが2月28日に、「新興国株指数」における中国本土A株の組み入れ比率の引き上げ予定を発表したことも相場を支えそうです。
(2019年3月7日)
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