米国株式は戻り歩調
金融引き締め懸念が後退
■米国株式市場が立ち直ってきました。S&P500種指数、NYダウ平均株価、ナスダック総合指数は、昨年12月24日を当面の底として、持ち直してきました。昨年の高値から直近安値までの下げ幅の半分ほど、戻したことになります。
■これは、(1)12月分の雇用統計が良好な内容だった、(2)パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、「必要とあれば金融政策を修正する」と発言したことで、引き締め懸念が和らいだ、(3)米中の次官級通商協議を経て貿易摩擦激化への警戒感が後退したこと等が背景です。
米国株式市場の動向
割安感が強まる
業績は下方修正だが、増益は確保へ
■昨年の株価下落で、バリュエーション(株価評価)の修正が進みました。S&P500種指数の予想株価収益率(PER)は、昨年1月には約18倍だったものが、1月17日現在で15.3倍に低下し、過去5年の平均である16.5倍を下回りました。
■S&P500種採用企業の2019年の業績予想は、法人税減税のあった2018年の前年比23.4%増からは減速するものの、同6.1%程度の利益成長は確保できそうです(予想はリフィニティブ、1月17日現在)。
S&P500種指数の予想株価収益率の推移
利益成長程度の株価上昇は見込めよう
■今後、米国経済は減税や財政支出拡大による景気押し上げ効果が徐々に弱まるほか、米中貿易摩擦の影響もあるため、経済成長率は緩やかに鈍化すると予想されます。ただし、在庫や生産設備といったストックに過剰な積み上がりが見られないため、景気後退に陥る公算は小さいと考えられます。
■業績予想には、以上のような景気見通しが織り込まれています。一方、今年の利上げは、インフレの落ち着き等から、1回で終わる見通しです。米中協議には注意が必要ですが、PERが過去平均を下回っていることも考え合わせると、利益成長程度の株価の伸びは期待できそうです。
(2019年1月18日)
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