不安定な滑り出しとなった日本株
米中貿易摩擦などが背景
■日経平均株価は、米中貿易摩擦の激化や中国の景気減速懸念などを受けて、昨年10月2日の高値24,270.62円から、一時5,000円を超える大幅下落となりました。今年に入っても不安定な動きが続いています。
企業収益は高水準
バリュエーションは割安
■米中貿易摩擦の影響などによる中国の景気減速懸念やトランプ大統領の政策運営への不安は今後も折にふれて意識されるとみられますが、今回の下落でかなり織り込まれ、割安感が強まったと考えられます。
■その理由として、日本企業の業績予想は下方修正されましたが、高い水準にあり、来年度の業績は増益が見込まれています。また、バリュエーション(株価評価)も割安になっています。
■特に注目されるのは、日経平均株価の前期基準の株価純資産倍率(PBR)です。PBRの1倍割れは株価が純資産の価値を下回ることを意味します。これはかなり極端なことで、過去にも2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災など特別な場合に限られています。現在は1.07倍でかなり悲観的な見方が織り込まれていると言えそうです。
企業業績見通し
日経平均株価と実績PBR
徐々に堅調な展開へ
■米中貿易摩擦の激化懸念や中国の景気減速懸念は残りますが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、必要があれば金融政策を変更すると発言したように、各国当局が状況に応じて金融面や財政面で景気対策を打ち出すことが期待されます。また現状では景気後退リスクは小さいと考えられるため、今後は過度な懸念が後退し、株式市場は徐々に堅調な展開となるとみられます。
(2019年1月10日)
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