米バイオ医薬品企業セルジーンとロクソ・オンコロジーが買収される

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

2019年に入り、大手医薬品企業によるバイオ医薬品企業セルジーン、ロクソ・オンコロジーをターゲットとしたM&A(合併・買収)の発表が相次ぎました。大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業が将来の成長に備えパイプライン(新薬候補)を充実させるためにバイオ医薬品企業をターゲットとしたM&Aは継続するものと見られます。また、2018年10月以降の株式市場の調整もM&Aを後押しする可能性があります。

米バイオ医薬品企業セルジーンとロクソ・オンコロジーが買収される

2019年に入り大手医薬品企業によるバイオ医薬品企業の大規模な買収が相次いで発表されました。

 

2019年1月3日、米大手医薬品企業ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)が米大手バイオ医薬品企業セルジーンを総額約740億ドル(約8兆円)で買収することを発表しました。両社が発表したプレスリリースによると、セルジーンの株主は、セルジーンの株式1株に対してBMSの株式1株プラス現金50ドルを受け取ることになります。買収発表の前日(1月2日)の終値でみると、買収価格(「BMSの株価+現金50ドル=102.43」)はセルジーンの株価66.64ドルを約54%上回る水準となります。

 

つづいて2019年1月7日、米大手医薬品企業イーライ・リリーが米バイオ医薬品企業ロクソ・オンコロジーを総額約80億ドル(約8,670億円)で買収することを発表しました。ロクソ・オンコロジーの株主は1株に対して235ドルの現金を受け取ることになり、買収発表の前営業日(1月4日)の終値139.87ドルを約68%上回る水準となります。

セルジーンの買収でBMSはがん領域、免疫および炎症領域を強化

BMSはセルジーンの買収によりがん領域を強化することができます。BMSは本庶佑・京都大学特別教授のノーベル賞受賞で話題となった固形がん治療薬オプジーボなど有力ながん治療薬を既に有していましたが、そこにセルジーンの血液がん治療薬レブラミドやポマリストが加わることで、がん領域において幅広い治療薬をそろえることとなりました。また、関節リウマチ治療薬オレンシア(BMS)や乾癬治療薬オテズラ(セルジーン)を有する免疫および炎症領域、経口抗凝固剤エリキュース(BMS)を有する心血管領域なども医薬品業界の中でも強みを持った領域となります。

 

さらに近く製品化されそうなパイプライン(新薬候補)については、将来の年間売上高が15億ドル超となると予想されているものも6つ(免疫および炎症領域2つ、血液(がん)領域4つ(CAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)療法2つを含む))有しています。

ロクソ・オンコロジーの買収でイーライ・リリーはがん領域を強化

イーライ・リリーによるロクソ・オンコロジーの買収もがん領域の強化につながります。

 

ロクソ・オンコロジーはがんの発生部位ではなく遺伝子異常・NTRK遺伝子融合で括られるがん一揃えを治療する経口TRK阻害剤を有していますが、ほかにも同様のメカニズムで発生するがんについての複数のパイプライン(治療薬候補)の研究が進められています。

2018年年初からバイオ医薬品企業をターゲットとしたM&Aが継続

2018年年初からバイオ医薬品企業をターゲットとした大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業によるM&Aが継続しています(図表参照)。

 

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[図表]2018年以降のバイオ医薬品をターゲットとした主なM&A案件

ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 ご参考資料 Pictet Global Market Watch ピクテ・グローバル・マーケット・ウォッチ 2019年1月8日 バイオ医薬品 2 1 出所:各種報道資料などを使用しピクテ投信投資顧問作成
出所:各種報道資料などを使用しピクテ投信投資顧問作成
 

記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、医薬品についてもあくまで参考として紹介したものであり、その医薬品を推奨するものではありません。また、データは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

バイオ医薬品企業は引き続きM&Aのターゲットに

バイオ医薬品セクターには、がん分野や遺伝子編集技術などの専門分野の研究に特化した、独自性の高い技術を有する企業が多く存在しています。一方で、一部の大手バイオ医薬品企業を除く多くのバイオ医薬品企業は治験にかかる多額の費用をまかなうことは難しい場合があります。

 

 

一方、既存の主力薬が特許切れに直面している大手医薬品企業や、特定の主力薬への依存が高い大手バイオ医薬品企業にとって、このような専門的な研究や技術革新について高い評価を得ており、有望なパイプライン(新薬候補)を有するバイオ医薬品企業は、魅力的なM&Aのターゲットになるものと考えます。

 

さらに2018年10月以降、世界的に株式市場が調整する中で、バイオ医薬品企業の株価も下落し、一部の銘柄に割安感が出てきていることも今後のM&Aを後押しする要因となる可能性があり、引き続きバイオ医薬品セクターにおけるM&Aの動きが注目されます。

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米バイオ医薬品企業セルジーンとロクソ・オンコロジーが買収される』を参照)。

 

(2019年1月8日)

 

ピクテ投信投資顧問株式会社

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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