米中貿易摩擦による不透明感が続くが、年後半は反発も

2019年の中国株式市場の見通し/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
米中貿易摩擦による不透明感が続くが、年後半は反発も

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

大幅に下落した中国株

米中貿易摩擦激化を嫌気

 

■2018年の中国株式市場は年初こそ上昇して始まったものの、その後は中国国内のデレバレッジ(債務削減)に伴う景気の下押し圧力などから上値が重い展開となりました。さらに、米中貿易摩擦が一段と激化するにつれ、景気の減速と共に下げ足を速めました。代表的な株価指数の上海総合指数は年間で20%を超える下落となりました。

 

中国株式市場の推移

(注1)データは2017年12月29日~2018年12月28日。 (注2)2017年12月29日を100として指数化。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)データは2017年12月29日~2018年12月28日。
(注2)2017年12月29日を100として指数化。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

中国政府は景気対策注力

バリュエーションは割安圏

 

■中国共産党・政府は昨年12月に開催した中央経済工作会議で、2019年の経済運営について減税などの積極財政政策と穏健な金融政策を続ける方針を明らかにしました。米国との貿易摩擦が激化し、景気の下押し圧力が高まるなか、景気の下支えに力点を置くことを示しました。

 

■一方、株式市場は米中貿易摩擦激化に伴う景気減速はある程度織り込んだとみられます。株価下落に伴い、MSCIチャイナ指数の予想PER(株価収益率)は10倍程度と割安圏にあります。また、予想EPS(1株当たり利益)は下げ止まりつつあります。

 

MSCIチャイナ指数のPERとEPS

(注1)データは2016年1月1日~2019年1月4日。 (注2)予想株価収益率=株価÷1株当たり予想利益。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)データは2016年1月1日~2019年1月4日。
(注2)予想株価収益率=株価÷1株当たり予想利益。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

年後半は反発を見込む

 

■2019年の中国株式市場は、春先にかけては米中貿易摩擦の不透明感から上値の重い展開が見込まれます。米中貿易協議が行われていますが、ハイテクの覇権争いや安全保障などの分野では妥協が困難とみられ、貿易紛争は長引く恐れがあります。ただし、中国共産党・政府は、2019年を建国70周年で祝賀すべき年と位置付けており、様々な景気刺激策を発動すると考えられます。減速傾向にある中国景気の先行きについては、中国当局が金融財政面から景気刺激策をより拡充することで、年後半から持ち直す可能性が高く、株式市場は戻りを試す展開を想定しています。

 

 

(2019年1月8日)

 

関連マーケットレポート

2018年12月20日 今年を振り返るキーワード2『米中貿易摩擦』
2018年12月18日 減速が続いている『中国経済』

 

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