対米ドルでは小幅な円高
他の先進国では円高傾向
■米ドルの対円相場は、年初の112円台から3月下旬の104円台までの下落を経て上昇に転じ、10月上旬には114円台をつけました。その後も概ね110円台前半での推移となっています。
■春先までは、米中貿易摩擦の激化、北朝鮮および中東情勢の緊迫化等を受け、安全資産である円に資金が集まりましたが、以降は政策金利の引き上げを着実に進めた米国のドルが上昇に転じる一方、ユーロと豪ドル、欧州連合(EU)離脱問題に揺れた英国のポンドは下落傾向を辿りました。年末にかけては貿易摩擦の再燃と、それが世界経済に及ぼす負の影響が懸念され、円に対する選好が強まりました。
主な先進国・地域通貨の対円レート
対新興国でも円高が進行
一部の通貨は大幅下落
■米利上げに伴う米ドル高から、対新興国通貨で円高が進みました。8月に米国から経済制裁措置を発動されたトルコのリラが急落した「トルコショック」を受け、新興国通貨は大幅に下落しました。一方、比較的経済の良いアセアン諸国の通貨の対円相場は年初の水準を100とした指数で、概ね90~100の範囲で堅調に推移しました。
主な新興国通貨の対円レート
対米ドルの変動は小幅に
■日米の実質金利差は円安ドル高要因である一方、日本の経常黒字や米国の保護主義は円高ドル安要因となります。上下にファンダメンタルズの壁があるうえ、日米当局とも大幅な変動は望んでいないと見られるため、米ドルの対円相場は今後110円を中心とした一定の範囲内での動きとなりそうです。EUは年内に量的緩和終了の見込みであり、これがユーロの支援材料になると考えられます。ただし、欧州の政治動向には要警戒です。
主なアセアン各国通貨の対円レート
(2018年12月27日)
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