「間違えるのが恥ずかしい」タイプの性格を変える方法とは?

※本記事は、東京大学薬学部卒業で、現在は作家、心理カウンセラー、イラストレーターとして活躍する杉山奈津子氏の著書、『偏差値29からなぜ東大に合格できたのか』の内容の中から一部を抜粋し、子どもの能力を最大限に引き出す親の役割と、短期間で劇的に偏差値を上げる学習法を公開します。

周囲の環境や経験により2つのタイプに偏っていく!?

東京で塾を経営している友人H君の話では、小学校低学年の生徒に難しい問題を解かせようとすると、2つのタイプに分かれるのだそうです。間違えて恥をかきたくないために 解くのを嫌がる生徒と、むしろ難しい方が好きだと嬉々として問題を解こうと奮起する生徒です。

 

前者の子は、もし失敗すると「自分はこの程度のこともできない」と他の人に思われてしまうのが嫌で、難問には挑みたがりません。後者の子は、たとえ問題が解けなくてもそこから何かを学べるだろうと、失敗を恐れず難問にも果敢に挑戦していきます。

 

人聞はこのように、能力は「生まれつき固定されていて変わらない」というメンタルセットと、「行動でどんどん変動していく」というメンタルセット両方を併せもちますが、周囲の環境や経験により、どちらか一方の要素に偏っていきます。そしてどちらに偏るかで、その後の選択や行動が大きく変わっていくのです。

 

メンタルセットが「変動タイプ」の人の特徴として、自分の目指すところに到達するのを重要視することが挙げられます。まず目標ありきで、能力が足りないならそこまで自分を高めようと努力します。つまずきは失敗には入らず、むしろ足りない箇所を明確にしてさらに成長するための判断材料となるので、有り難いものと捉えます。

 

メンタルセットが「固定タイプ」の人は、「自分はこんな能力をもっている」と周りに証明することに心血を注ぎます。大学に落ちることは「この大学に入るまでの能力はない」とはっきりさせてしまうことになるため、合格圏内の範囲で志望校を決め、可能な限り失敗やつまずきを避けます。

子どもの能力を伸ばしたいと願うなら

「変動タイプ」「固定タイプ」の行動が、人生でどんな違いを生むのか。主人公が魔王を倒しに冒険にいくロールプレイングゲームで例えてみましょう。「魔王を倒す」という壮大な目標を掲げても、最初は布の服に木の棒をもっている程度の貧相な装備しかなく、お金もないので攻撃カの強い剣や、防御カのある鎧は高価で買えません。

 

そのため、「変動タイプ」はまず弱いモンスターを倒すことにより(たまに負けながらも)、少しずつお金をためていきます。敵を倒していく過程で経験値がたまり、レベルア ップして「素早く動ける」「カが強くなる」など、自分の使える能力が伸びていきます。 そして、お金がたまったら今より上等な武器と防具を買います。こうして、徐々にもう少し強いモンスターが出てくる範囲にも進めるようになり、だんだん手強いボスにも挑めるようになります。

 

「固定タイプ」は最初の時点で、現状の装備やレベルを上げていこうとは考えません。まず、身につけているものを「これは破れにくい服で鎧よりも軽い」とか、木の棒を「これは剣と同じくらい頑丈で鋭い」と、最大限よく見えるよう町の人に主張するのです。そうして自分をよく見せることばかりに時間を使い、戦おうとしません。

 

もし弱いモンスターに挑んで負けたことがみんなに知られると、「自分の能力や装備はその程度」と思われて恥ずかしいし、何より自分も「自分は強い」と思い込んでいたいからです。敵を倒さなければ経験値もお金もたまらないので、いつまでたっても当然レベルは上がりません。こんな状態で、魔王を倒すことなど絶対にできないでしょう。

 

固定タイプと変動タイプ、目標を達成するためにもつべきなのはどちらのメンタルセットかは明らかです。日本には、身長が低くても世界を舞台に活躍するバスケット選手がいます。子どもを育てながら、ワーキングマザーとして宇宙飛行士になった人もいます。

 

他人から見たら「無理なのでは」と思えることでも、限界を決めずに挑戦し続けたおかげで、夢を実現させている人たちがいるのです。子どもの能力を伸ばしたいと願うなら、まずは親自身が変動タイプのメンタルセットをもつべきです。

 

そのためにはどうすればいいのかということを、これから詳しく紹介していきたいと思います。

「嫌なこと」に対する受けとめ方で分かる自分のタイプ

メンタルセットが変動タイプと固定タイプ、自分は現在どちら寄りなのかは、嫌なことに対する受けとめ方で見分けることができます。次のように、日常生活の中で起きる些細なことでもいいので一緒に考えてみてください。

 

私は先日、久しぶりにネットオークションを使い、昔から見たかった廃盤のDVDをわりと安い値段で落札しました。そして、ネットから落札代金を直接振り込んだのですが、出品者から別途消費税がかかると伝えられました。久しく活用していなかったので知らなかったのですが、値段の表示の仕方が変わっていたようです。

 

ネットから直接支払う方法は一度しか使えないため、再度振り込むには家から少し遠いコンビニのATMまで行かなくてはならず、出不精な私は気が重くなりました。また、ネットで振り込むのにも手数料はかかりますが、ATMだともっと高い手数料がかかります。しかも振り込む消費税分はたった20円なのに、ATMの手数料が216円ということが、さらに嫌な気持ちに拍車をかけました。

 

「どうして確かめなかったのか」「これでは安く買えた意味がない!」と自責の念にかられ、何だか自分がどうしょうもない人間に思えました。ウジウジしても仕方ないのでさっさとコンビニに行こうと思ったとき、そういえば自転車がパンクしたままだったのを思い出したのです。そのときの気分は最悪で、「こんなことならDVDを買わなければよかった」とさえ思いました。

 

しかし、この一連の出来事は果たしてそんなに悪いものでしょうか? 消費税を見落とした、ただそれだけのミスが「自分はダメ人間」と価値を決めてしまうまでの、人生において大きな失敗なのでしょうか。こうした些細なことにいつまでもひどく落ち込んで、自暴自棄になったり、後々まで文句を言い続けたりするのが固定タイプの特徴です。

 

変動タイプは、落ち込む事態の中でも、前を向いて失敗から成長できる部分を探し出し、サッと気分を切り替えることができます。私は少しふてくされた後、「自分は今、固定タイプ寄りの考え方になっている」と気づきました。そして、メンタルセットを変動タイプに修正するために、プラスになることを考えてみました。

能力を伸ばすことができる人は「切り替え」が上手!?

まず、こうして手聞をかけて払いにいけば、今後は値段の見方に気をつけるようになり、二度と消費税を見落とすことはなくなるでしょう。それに、普段からかなり不健康な生活を送っているので、日の光を浴びてのんびり歩くことはいい運動になります。コンビニの途中に自転車屋さんがあるので、面倒で先延ばしにしていた自転車のパンクもついでに修理することができます。

 

自転車が直れば、これからは遠くまで出かけやすくなります。そして何より、ずっと欲しかったDVDが見つかり、しかも安価で手に入るなんて、何とも幸せなことではないでしょうか。余計な手数料がかかるといっても、わずか200円程度のことなのです。自分にとって最悪なケースは、DVDが手に入らないことです。「買わなければよかった」と結論づけるのは、あまりに一時的な負の感情に振り回されすぎです。

 

目の前の嫌なことにいつまでも焦点をあて、自分自身や行為自体を否定し、ずっと文句を言い続けるのは固定タイプの良くない性質です。変動タイプは、嫌なことがあった場合に人間ですから一度落ち込みはしますが、その後の切り替えが上手です。このDVDの話の中で、私は様々なものを得て前進こそしていても、まったく後退などしていないのです。

 

失敗だと思えるようなことからでも、自分が成長できるものを見つけられる人が変動タイプであり、能力を伸ばすことができる人です。

 

成功者の共通点を書いた『思考は現実化する』の著者ナポレオン・ヒルは、「逆境の中にはすべてそれ相応か、それ以上の大きな利益の種子が含まれている」と言っています。精神的にきつくなったとき、私はいつもこの言葉を思い出すようにしています。

 

おかげで、「この状況の中で、利益の種はいったい何を指すだろう?」と探すクセがつきました。この言葉は、固定タイプに偏りがちな頭を変動タイプに戻すのに、非常に効果があります。

 

まずは自分と、そして子どもの考え方をお互い話し合い、どんなメンタルセットをもっているかを確認してみることから始めてみましょう。

 

 

杉山 奈津子

作家、イラストレーター

 

静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。作家、イラストレーター。心理カウンセラー。大学卒業後は、執筆活動や講演活動を積極的に行っている。著書に『鬱姫 なっちゃんの闘鬱記』(講談社)、『「うつ」と上手につきあう本』(大和出版)、『偏差値29からの東大合格』(中央公論社)、『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』(KADOKAWA)などがある。

著者紹介

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