2018年11月のマーケットの振り返り②

マンスリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
2018年11月のマーケットの振り返り②

三井住友アセットマネジメント株式会社が、2018年11月のマーケットについて振り返り、「1. 概観、2. トピックス、3. 景気動向、4.企業業績と株式、5. 金融政策、6. 債券、7. 為替、8. リート、9. まとめ」のそれぞれについて解説します。今回は、「3. 景気動向、4.企業業績と株式、5. 金融政策」を見ていきましょう。※本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

3.景気動向

<現状>

 

米国は、18年7-9月期の実質GDP成長率が前期比年率+3.5%となり、4-6月期の同+4.2%からは鈍化したものの、高い成長が続きました。
欧州は、18年7-9月期の実質GDP成長率が前期比年率+0.7%にとどまり、4-6月期の同+1.8%から大幅に鈍化しました。
日本は、18年7-9月期の実質GDP成長率が前期比年率▲1.2%と、2四半期振りにマイナス成長となりました。
中国は、18年7-9月期の実質GDP成長率が前年同期比+6.5%となり、政府の成長率目標である同+6.5%前後に沿った結果となりました。
豪州は、18年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率+3.5%と、7四半期連続のプラス成長となりました。

 

<見通し>

 

米国は、19年にかけて財政支出の拡大効果一巡が見込まれるものの、雇用増を支えとする個人消費の拡大を牽引役に安定成長を続ける見通しです。

欧州は、米中貿易摩擦の影響等はあるものの、雇用や賃金の増加に加え、財政による景気刺激もあり、緩やかな成長軌道を辿る見込みです。

日本は、良好な雇用・所得環境を背景とした内需の拡大から、緩やかな成長軌道を辿る見通しです。

中国は、対米貿易摩擦の影響を受けた減速が見込まれるものの、政府による経済政策やIT産業の高成長により、高めの成長を続けると予想されます。

豪州は、資源セクターの調整が一巡するため、景気拡大の足取りが、より力強さを増す見込みです。

 

米国の実質GDP成長率

(注)データは2015年1-3月期~2018年7-9月期。前期比年率伸び率。 (出所) Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2015年1-3月期~2018年7-9月期。前期比年率伸び率。
(出所) Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

日本の実質GDP成長率

(注)データは2015年1-3月期~2018年7-9月期。前期比年率伸び率。 (出所) Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2015年1-3月期~2018年7-9月期。前期比年率伸び率。
(出所) Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

4.企業業績と株式

<現状>

 

S&P500種指数の18年11月の予想1株当たり利益(EPS)は175.35米ドル(前年同月比+20.8%)と、25カ月連続で過去最高を更新し、かつ13カ月連続で前年同月比二桁の伸びとなりました。東証株価指数(TOPIX)の予想EPSは133.79円(同+10.4%)と、18カ月連続で二桁の伸びとなりました(いずれも予想はリフィニティブI/B/E/Sベース)。

 

11月の米国株式市場は、S&P500種指数で前月比+1.8%の上昇となりました。上旬から中旬にかけては米中貿易摩擦への警戒感が浮上するなか、ハイテク株が軟調な動きとなったほか、原油価格の値下がりを受けエネルギーセクターが下落しました。下旬はパウエルFRB議長が「金利水準は中立金利のわずか下にある」と述べ、利上げ打ち止めが近いことを示唆したことや、米中首脳会談への期待が高まったこと等から、米株は上昇しました。一方、日本株式市場も、TPOIXで前月比+1.3%と先月の下落から反発しました。堅調な米国株式市場の動きに加えて、米ドルの対円レートが113円台を保ったこと等も支えとなりました。

 

<見通し>

 

S&P500種指数採用企業のEPSは18年が前年比+24.0%、19年が同+8.4%の増益が予想されています(18年11月27現在、リフィニティブI/B/E/Sベース)。一方、日本の予想経常利益増益率は18年度(19年3月期決算)が前年度比+8.3%、19年度(20年3月期決算)が同+7.8%と10月のそれぞれ同+9.5%、同+8.1%より下方修正となりました(東証1部除く金融、QUICKコンセンサスベース、18年11月30日現在)。日米株式市場は、大幅な株価調整によって、利益との関係から見て割安感も台頭しています。

 

EPSと株価指数の推移(米国)

※EPSとは・・・[Earnings Per Share]=1株当たり利益。当期利益を発行済株式数で割ったものです。 (注)データは2008年11月~2018年11月。EPSはトムソン・ロイターズI/B/E/Sによる予想ベース。 (出所)FactSetのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
※EPSとは・・・[Earnings Per Share]=1株当たり利益。当期利益を発行済株式数で割ったものです。
(注)データは2008年11月~2018年11月。EPSはトムソン・ロイターズI/B/E/Sによる予想ベース。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

EPSと株価指数の推移(日本)

※EPSとは・・・[Earnings Per Share]=1株当たり利益。当期利益を発行済株式数で割ったものです。 (注)データは2008年11月~2018年11月。EPSはトムソン・ロイターズI/B/E/Sによる予想ベース。 (出所)FactSetのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
※EPSとは・・・[Earnings Per Share]=1株当たり利益。当期利益を発行済株式数で割ったものです。
(注)データは2008年11月~2018年11月。EPSはトムソン・ロイターズI/B/E/Sによる予想ベース。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

5.金融政策

<現状>

 

FRBは、11月7日、8日に開催したFOMCで、政策金利(FFレート)の誘導レンジを2.00%~2.25%で据え置くことを決定しました。 欧州中央銀行(ECB)は、10月25日の理事会で政策金利、預金ファシリティ金利(金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利)を各々0.00%、▲0.40%に据え置きました。量的緩和政策である資産購入プログラムについては、月間150億ユーロの規模で18年末まで継続する方針です。日本銀行は10月30日、31日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定しました。長期金利の操作目標である10年物国債利回りをゼロ%程度に操作する金融調節を継続し、長期国債を買い増すペースも引き続き年間約80兆円を目処にします。   

 

<見通し>

 

米国では、年内が12月、来年は3月と6月に利上げが実施され、FFレートの誘導目標値は中立金利と推計される3.00%程度で着地する見通しです。ユーロ圏では、18年末に量的緩和が終了した後も、しばらくECBは再投資により国債等の保有残高を維持する見込みです。政策金利は19年9月に預金ファシリティ金利の引き上げ、同年12月には主要リファイナンス金利の引き上げが予想されます。日本は、経済が緩やかな拡大を続け、物価上昇率は高まるものの、日銀が目標とする2%に到達するには時間がかかる見通しのため、当面、金融政策を据え置く見込みです。

 

各国・地域の政策金利の推移

(注)データは2016年11月1日~2018年11月31日。日本は政策金利(参考値)、米国はFederal Fund Rate(誘導レンジの上限)、ユーロ圏はECB預金ファシリティ金利、英国はRepo Rate、豪州はOfficial Cash Rateを使用。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2016年11月1日~2018年11月30日。日本は政策金利(参考値)、米国はFederal Fund Rate(誘導レンジの上限)、ユーロ圏はECB預金ファシリティ金利、英国はRepo Rate、豪州はOfficial Cash Rateを使用。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

(2018年12月5日)

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