2018年11月のマーケットの振り返り①

マンスリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
2018年11月のマーケットの振り返り①

三井住友アセットマネジメント株式会社が、2018年11月のマーケットについて振り返り、「1. 概観、2. トピックス、3. 景気動向、4.企業業績と株式、5. 金融政策、6. 債券、7. 為替、8. リート、9. まとめ」のそれぞれについて解説します。今回は、「1. 概観、2. トピックス」を見ていきましょう。※本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

1.概観

【トピックス】

(1)需給面からみた日本株の動き
(2)最近の米連邦準備制度理事会(FRB)高官発言とドル円相場

 

【株式】

米国の株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派的発言や米中首脳会談への期待の高まり等から上昇しました。欧州の株式市場は、英国の欧州連合(EU)離脱問題を巡る不透明感の高まり等により下落しました。日本の株式市場は、米株式市場が堅調に推移したことに加え、為替も円安の方向に進んだこと等から上昇しました。

 

【債券】

米国の長期金利は、景気指標の軟化、米株価や原油価格の下落、FRB高官のハト派的な発言を受けた利上げ観測の後退等により低下しました。欧州の長期金利も、英国とEUの離脱交渉を巡る不透明感の強まり等から、低下しました。

 

【為替】

11月は円が、米ドルやユーロといった主要通貨に対して下落しました。11月上旬に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)において利上げ継続の方針が確認されたことや、主要国の株価が反発に転じたこと等からリスク回避の円買いの動きが後退したためです。

 

【商品】

原油先物価格は、サウジアラビアの原油生産が過去最高を記録との報などを受け、急落しました。

 

11月の市場動向

(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

2.トピックス

(1)需給面からみた日本株の動き

 

<注目点>

 

今回のレポートでは、日本株の需給面に注目し、最近の動きを確認します。

 

<ポイント>

 

はじめに、空売り比率からみていきます。空売り比率とは、空売り売買代金が、実注文売買代金と空売り売買代金の合計に占める割合のことで、一般に40%を超えると高水準とされます。直近の動きをみると、10月1日から11月21日まで37営業日連続で40%を超えて推移しています。これは、下げ相場に収益機会を見込む投資家が多いことを示唆すると同時に、将来の買い戻し圧力も高まっていることを意味しています。次に、ネット裁定残高に目を向けます。ネット裁定残高とは、裁定取引にかかわる現物の買いポジションから売りポジションを差し引いた株数です。一般に株高局面で先物が割高になると裁定買いの取引が増え、ネット裁定残高は増加、株安局面ではネット裁定残高が減少する傾向があります。過去ネット裁定残高は概ね5億株から20億株程度で推移していましたが、11月21日時点のネット裁定残高は、下限の目安である5億株を下回り、約3億株まで減少しました。そのため、残高が増加に転じるタイミング、すなわち株価反発のタイミングは、さほど遠くないように思われます。最後に、投資部門別の日本株売買状況を確認します。主要投資部門について、年初からの売買代金累計をみると、海外投資家の売り越しが4兆円を超え、突出した動きとなっています。一般に、日本株は海外投資家の動向に影響を受けやすい傾向があることを踏まえると、10月以降に日本株が調整色を強めたのも、海外投資家の売りが関係したと推測されます。この先は、やはり海外投資家の動向が焦点になりますが、すでに年初から大幅に売り越しているだけに、株価反転の際には、買い戻しの余力は十分あると考えられます。

 

日本の空売り比率

(注)データは2018年1月4日から11月21日。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2018年1月4日から11月21日。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

投資部門別の日本株売買状況

(注)データは2018年1月第1週(1月4日~5日)から11月第1週(11月5日)までの累計。海外投資家、個人、投資信託、事業法人、信託銀行、自己は、東京・名古屋2市場、2部と新興市場の累計額。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2018年1月第1週(1月4日~5日)から11月第1週(11月5日)までの累計。海外投資家、個人、投資信託、事業法人、信託銀行、自己は、東京・名古屋2市場、2部と新興市場の累計額。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

(2)最近の米連邦準備制度理事会(FRB)高官発言とドル円相場

 

<現状>

 

このところ、FRB高官から、利上げ継続に慎重ともとれる発言が相次いでいます。パウエルFRB議長は11月14日、米テキサス州ダラスで講演し、海外景気の減速や、米財政刺激効果の剥落、米利上げが時間差をもって経済に与える影響を潜在的な課題として列挙したうえで、「あとどれくらい利上げをするか、今後の利上げペースについて考えなければならない」と述べました。また、アトランタ地区連銀のボスティック総裁は11月15日にスペインの首都マドリードで開催された講演で、「(景気を刺激も抑制もしない)中立金利からあまりに遠く離れているとは思わない」と指摘しました。さらに、クラリダFRB副議長は11月16日、米CNBCのインタビューのなかで、米政策金利は「中立水準に近づいている」、「一部では減速しつつある世界経済も考慮に入れる必要がある」、ニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁は11月19日、米ニューヨーク州ブロンクスで行われたイベントで、「われわれは若干の(somewhat)利上げを行う可能性が高い」と述べました。なお、パウエル議長、ボスティック総裁、クラリダ副議長、ウィリアムズ総裁は、いずれもFOMCにおける議決権を有しています。

 

<ポイント>

 

これら一連の発言を受け、市場では利上げペースが鈍化するのではないかとの観測が広がっています。弊社では、米利上げについて、年内は12月、来年は3月と6月に実施され、そこでいったん打ち止めと予想しています。また、米国の景気循環はピークアウトしつつあるも、一気にボトムに向かう展開ではないとみています。そのためドル円は、ドル高、ドル安、いずれの方向にも大きくは振れにくく、目先は110円から115円のレンジ内で推移する可能性が高いと思われます。

 

2018年のFOMCメンバーと金融政策スタンス

(注)2018年に投票権を持つFMOCメンバー。バウマン理事の政策スタンスは不明。 (出所)各資料を基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)2018年に投票権を持つFMOCメンバー。バウマン理事の政策スタンスは不明。
(出所)各資料を基に三井住友アセットマネジメント作成

 

市場が織り込む米利上げ確率

(注)データは2018年11月1日から16日。 (出所)CMEのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2018年11月1日から16日。
(出所)CMEのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

(2018年12月5日)

●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友アセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友アセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧