実践的基礎知識 REIT編(1)<REITとは?>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

不動産投資法人(REIT)とは?

REITはエクイティ投資のひとつで、お金を貸すローンや債券への投資(債権者になる)とは対照的に、出資者となる投資です。REITの市場規模は株式市場等に比べると小さく、エクイティ投資の代表である株式よりも高いリスク値を示すのが通常です。REITの商品性の本質や市場規模などを理解することで、REITのリターンとリスクを正しく理解することにつながります。

REITの仕組み

REITは多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する商品です。

 

「REITは株式と債券の中間のような商品です」というフレーズを耳にする事がありますが、果たしてそれは本当でしょうか。REITはエクイティ投資に他なりません。エクイティ投資というのは、お金を貸すローンや債券への投資(債権者になる)とは対照的に、出資者となる投資です(図表1)。REITも株式もエクイティ投資であり、破たん時の弁済順位はローン債券よりも劣後し、この点でREITが株式よりも低リスクになる特性は持ち合わせていません。値動きという意味のリスクでは、REIT市場は様々な業種を含み時価総額も大きな市場を代表するような株価指数よりも高いリスク値を示すのが通常です。

 

REITの貸借対照表(B/S)を見てみると、銀行等の金融機関からの融資や債券による借金と投資家から出資(エクイティ)によって資金を調達し、資産(不動産)を購入しています。つまり、B/S上は一般の事業会社、不動産会社とほとんど変わりません(図表1)。

 

[図表1]REITの貸借対照表/債券投資イメージ図

 
 

REITの損益計算書(P/L)を見てみると、REITの利益は、所有不動産の賃料収入等から管理費などのコストや借金の利息などを引いた残りとなります。こうした収益構造は賃貸用不動産を所有する不動産会社等とほとんど変りませんが、一般事業会社との大きな違いは、利益の90%以上を配当で払い出すと法人税が免除されるという点です(図表2)。ただし、収益の大半を配当として社外流出させてしまうため、業績悪化時などにバッファーとなる剰余金が溜まっていかない点に注意が必要です。

 

[図表2]REITの損益計算書イメージ図

日米REIT市場の市場規模

REIT市場は市場を代表するような株価指数よりも高いリスク値を示すと前述しましたが、その大きな要因が市場規模と流動性です。REITの市場規模はどのくらいなのでしょうか。世界最大のREIT市場である米国REIT市場の時価総額は、2009~2015年の過去6年間で10兆円程度から90兆円程度(約9倍)に増加しましたが、それでも100兆円に満たない規模です。

 

 

一方で米国REIT市場の取引額は1日2,000億円程度と非常に低水準にとどまっており、これでは少しまとまった金額の資金の出入りがあれば大きく上下動してしまいます(図表3)。

 

[図表3]米国REITの時価総額と取引額の推移

(期間:2005年12月20日~2016年2月15日) 米国REIT:MSCI米国REIT指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(期間:2005年12月20日~2016年2月15日)
米国REIT:MSCI米国REIT指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

J-REITの市場規模はどのくらいなのでしょうか。J-REITの時価総額も、2008年の2兆円程度から2016年の11兆円程度へと約5倍に膨れ上がりましたが、取引額は1日300億円程度と非常に小さくなっています(図表4)。この水準では数十億円程度の資金流出入ですら大きなインパクトを与えてしまいます。東証1部の時価総額は約490兆円、1日の売買代金が3兆円ですので、株式市場等と比べて市場規模が小さく、流動性が乏しいことがわかります。こうしたことから、REIT市場はまとまった資金の出入りによって大きく上下動してしまうため、株式市場よりも大きなリスク値を示すのです。

 

[図表4]J-REITの時価総額と取引額の推移

(期間:2005年12月20日~2016年2月15日) J-REIT:東証REIT指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(期間:2005年12月20日~2016年2月15日)
J-REIT:東証REIT指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

REITのB/SやP/Lなどの具体的な中身を見てみると、REITの商品性の本質を理解することができるようになります。また市場規模や流動性を知ることで、REITのリターンとリスクを正しく理解することにつながります。

 

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(2017年9月25日)

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1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は2.11兆円となっています(2018年6月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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連載PICTET・投資初心者のための実践的基礎講座

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