金利差、鉄鋼石価格等が豪ドル高要因

堅調な展開が見込まれる豪ドル相場(2018年11月)/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
金利差、鉄鋼石価格等が豪ドル高要因

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

豪ドルは80円台前半で推移

もみ合いが続いている

 

■豪ドルの対円相場は、米中貿易摩擦の激化等から軟調に推移してきましたが、足元では1豪ドル当たり80円台前半で下値固めの動きとなっています。

 

豪ドル円レートと鉄鉱石価格

(注)データは鉄鉱石価格が2016年3月1日~2018年11月20日。為替が2016年3月1日~ 2018年11月22日。ただし、11月22日は13時時点のもの。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友 アセットマネジメント作成
(注)データは鉄鉱石価格が2016年3月1日~2018年11月20日。為替が2016年3月1日~ 2018年11月22日。ただし、11月22日は13時時点のもの。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友 アセットマネジメント作成

 

 

豪州の経済は良好

RBAは中立から引き締めの方向へ

 

■豪州経済は良好です。豪州準備銀行(RBA)は、11月9日に公表した四半期経済報告で、実質GDP成長率の予想値を上方修正しました。2018年が前年比3.25%→3.50%、20年が同3.00%→3.25%です。消費者物価上昇率も、基調ベースで19年を同2.00%→2.25%に上方修正しました(物価は10-12月期の予測値)。

 

■足元の物価上昇率が、RBAの目標レンジである2~3%を下回って推移していることから、RBAは当面、中立姿勢を維持する見通しです。しかし、19年後半にかけ失業率の低下や、賃金、物価の上昇率加速等、利上げの環境が整うと見られ、RBAは19年と20年に各1回、0.25%の利上げを実施すると予想されます。一方、日銀はしばらく緩和姿勢を維持すると見込まれることから、日豪の金利差は拡大の方向にあると考えられます。

 

豪ドルの対円相場の変動要因

(出所)三井住友アセットマネジメント作成
(出所)三井住友アセットマネジメント作成

 

 

鉄鉱石価格も回復しつつあり、今後も豪ドルは堅調に推移しよう

 

■加えて、鉄鉱石価格も持ち直してきました。中国景気は減速傾向にありますが、それに対して政府は景気刺激策を打ち出しています。その効果で鉄鋼需要が持ち直してきたうえ、鉄鉱石の大幅な生産調整の効果もあり、中国における鉄鉱石の港湾在庫がピークアウトしてきたこと等によるものです。

 

■以上の通り、(1)景況感格差が豪州優位にあり、日銀の金融政策が緩和姿勢維持であるのに対し、RBAは中立から利上げに向かう見通しであること、(2)鉄鉱石価格が持ち直してきたこと等から判断すると、今後も豪ドルの対円相場は堅調に推移する見込みです。

 

(2018年11月22日)

 

関連マーケットレポート

2018年11月14日 緩やかな減速が続く中国経済(2018年11月)
2018年11月06日 豪州の金融政策は中立姿勢を維持(2018年11月)

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