豪ドルは80円台前半で推移
もみ合いが続いている
■豪ドルの対円相場は、米中貿易摩擦の激化等から軟調に推移してきましたが、足元では1豪ドル当たり80円台前半で下値固めの動きとなっています。
豪ドル円レートと鉄鉱石価格
豪州の経済は良好
RBAは中立から引き締めの方向へ
■豪州経済は良好です。豪州準備銀行(RBA)は、11月9日に公表した四半期経済報告で、実質GDP成長率の予想値を上方修正しました。2018年が前年比3.25%→3.50%、20年が同3.00%→3.25%です。消費者物価上昇率も、基調ベースで19年を同2.00%→2.25%に上方修正しました(物価は10-12月期の予測値)。
■足元の物価上昇率が、RBAの目標レンジである2~3%を下回って推移していることから、RBAは当面、中立姿勢を維持する見通しです。しかし、19年後半にかけ失業率の低下や、賃金、物価の上昇率加速等、利上げの環境が整うと見られ、RBAは19年と20年に各1回、0.25%の利上げを実施すると予想されます。一方、日銀はしばらく緩和姿勢を維持すると見込まれることから、日豪の金利差は拡大の方向にあると考えられます。
豪ドルの対円相場の変動要因
鉄鉱石価格も回復しつつあり、今後も豪ドルは堅調に推移しよう
■加えて、鉄鉱石価格も持ち直してきました。中国景気は減速傾向にありますが、それに対して政府は景気刺激策を打ち出しています。その効果で鉄鋼需要が持ち直してきたうえ、鉄鉱石の大幅な生産調整の効果もあり、中国における鉄鉱石の港湾在庫がピークアウトしてきたこと等によるものです。
■以上の通り、(1)景況感格差が豪州優位にあり、日銀の金融政策が緩和姿勢維持であるのに対し、RBAは中立から利上げに向かう見通しであること、(2)鉄鉱石価格が持ち直してきたこと等から判断すると、今後も豪ドルの対円相場は堅調に推移する見込みです。
(2018年11月22日)
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