実践的基礎知識 株式編(4)<高値掴みしないために重要なこと>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

高値掴みしないために重要なこと

株式に投資をする際、株価が割高なのか割安なのか、そのバリュエーション(投資価値評価)を判断することが重要です。代表的なバリュエーションの指標として株価収益率(PER)などがあげられます。うまく活用することで割高な株式を高値で掴むことを避けられる可能性があります。

株価収益率(PER)

株価のバリュエーション(投資価値評価)を示す代表的な指標にPER(株価収益率)があるのは株式編(2) (関連記事『実践的基礎知識 株式編(2)<株式の価値を考える~PERとPBR~>』参照)でご紹介済です。PERは株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値(割高なのか割安なのか)を判断する際に利用される尺度です。PERは株価÷1株当り利益(EPS)で算出されます。

 

例えば、株価が1,000円で、EPSが100円ならば、PERは10倍です。この数値は小さければ小さいほど割安、数字が大きければ大きいほど割高と考えられます(図表1)。PERの変化としては、EPSが変わらず株価が下がれば、PERも下がります。利益が減っていないのに株価が下がれば割安になるのは自然な考えだと思われます。

 

[図表1]株価のバリュエーションを示す代表的な指標

 

一方、EPSの観点からみると、株価が変わらずEPSが増えれば、PERが下がることになります。株価の変動をEPSの変化とPERの変化で見てみましょう。

株式のリターンの源泉

株式のリターンの源泉は大きく分けて2つに分類できます(図表2)。まず1つ目がインカムゲイン(配当収入)、2つ目がキャピタルゲイン(値上がり益)です。

 

[図表2]株式のリターンの源泉

 

インカムゲインは短期では、ほとんどたまらず、長期では、時間が経てば経つほど積み上がっていきます。一方、キャピタルゲインはEPSの変化とPERの変化に分けられます。EPSは、短期ではあまり大きな変化は期待できませんが、長期では企業の利益が大きく積み重なることが期待できます。

 

例えば年率10%ずつEPSを増やしていくと、1年後はわずかに1.1倍に増えるだけですが、10年後には2.6倍に、20年後には6.7倍にEPSが増えます。PERの変化については、短期では利益成長と比べて大きく変化し得ます。PERが10倍から15倍になれば株価は50%上昇します。また長期においてはスタート時のPERが極端に割高・割安な場合はその後大きく変化することがあります。PERが100倍から20倍に下がればPER変化率は-80%となり、たとえEPSが3倍になっても株価は40%下落します(図表3)。

 

[図表3]日経平均株価の動きとバリュエーションの変化

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

日経平均株価の動きとバリュエーションの変化

それでは実際に過去の日経平均株価のバリュエーションとその後のパフォーマンスについて検証していきましょう(図表3)。

 

2000年10月末の日経平均株価はPERは76.9倍と非常に高水準にあり、その後の8年間で利益は274%増えたにもかかわらず、株価は41%下落しました。その結果、PERは84%低下しました。

 

 

2008年10月末の日経平均株価のPERは12.1倍と低水準で、その後の7年間で利益は36%増加しましたが、株価も122%とそれ以上に大きく上昇したため、PERの増加も64%となりました。

各資産の動きとPERの変化

今度はMLPを例に価格変化の要因を見てみましょう(図表4)。まず、A時点からB時点の価格の変化率は+23.5%、ダウ平均の15.4%を上回る価格上昇を見せています。なぜ価格が上がったのでしょう。業績が良かったのでしょうか。MLPのA時点からB時点のPERの変化率は+47.9%、対してEPSの変化率は-16.5%でした。つまり、利益は減ったにもかかわらず、株価は23.5%も上昇したため、PERは+47.9%と割高になってしまいました。単に割高になっただけです。

 

[図表4]各資産の動きとPERの変化

 

次にB時点からC時点を見てみましょう。価格の変化率は-33.5%と大きく下落しました。EPS伸びは-2.9%とほとんど下落していませんが、PERの変化率は-31.6%と大きく下落しました。先ほどのA時点からB時点の変化はPERが上昇して株価が割高になり、B時点からC時点の変化は元のA時点と同程度のPERの水準となり、割高感が解消されたと見ることができます。

 

このように、割高な状況で投資を開始してしまうと、値下がりする可能性が高くなり、また、元の価格に戻るまで長い時間と大きな利益成長が必要になってしまいます。こんな状況を回避するために、投資においてはバリュエーションを確認することが非常に大事です。

 

 

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※データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません

※数値は四捨五入して表示しているため、表示されている数値での計算結 果と不一致となる場合があります。

※MLP:Alerian MLP指数、グローバルヘルスケア:MSCIヘルスケア株価指数、グローバル公益:MSCI公益株価指数

※日経平均株価を除き米ドル建て、日経平均株価は円建て

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識 株式編(4)<高値掴みしないために重要なこと> 』を参照)。

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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