使用年数に応じて、費用を分割計上する「減価償却」
アメリカ不動産投資にはさまざまなメリットがありますが、もっとも特徴的なのがスピード減価償却による節税対策です。不動産投資経験者ならずとも、ビジネスパーソンであれば「減価償却」という言葉自体は聞いたことがあるでしょう。しかし、意外と具体的な仕組みを知らない方も多いのではないでしょうか。まずは、そんな方のために「減価償却」について解説します。
◆減価償却とは?
物の価値は、時間の経過とともに下がります。たとえば、100万円の自動車があり、この自動車の耐用年数(使用できる年数)が、10年間だとします。すると、1年に10万円ずつ価値が下がっていき、10年後には価値がなくなります。
これを、購入した設備等にも適用することで、初年度の計上だけで完結させるのではなく、使用する年数に応じて分割計上できるようにしようというのが減価償却の基本的な考え方です。減価償却で計上された費用を課税所得から差し引くことで、納税負担を抑えられます。
減価償却は不動産にもあてはまります。もちろん初期投資は高額になりますが、その分、計上できる費用が飛躍的に増え、減らせる納税額もおのずと高くなります。そのため、口座に現金を眠らせておくよりも、断然お得です。
アメリカ不動産投資が「お得」であることに関しては、国や構造によって耐用年数が決められている点や、不動産における減価償却の対象が建物のみである点がキーになってきます。耐用年数が短く、建物の値段(特に価値比率)が高ければ、年間の減価償却費は増えます。減価償却費が増えるということは、より節税になります。この原理自体が、アメリカ不動産投資が大いに節税対策になることにつながってきます。
建物評価の高い米国不動産で、減価償却を活用すると…
不動産は、保有した時点から価値が下がります。そのため、法定耐用年数というものが設定されています。
日本の不動産の場合、新築だと、鉄筋コンクリート造で47年、鉄骨造で19年~34年(厚みによります)、木造で22年と決まっています。中古だと、(新築法定耐用年数-築年数)+築年数×20%となります。なお、築年数が耐用年数を超えている場合は、耐用年数×20%となります。つまり、木造であれば、22年以上経過している不動産の場合、4年間で減価償却が可能になるということです。
しかし日本では、住宅は「一生の買い物」と認識する文化があり、新築が好まれます。経年劣化で年々価値が失われていく日本の中古物件は、22年以上も経過していると、その価値は大幅に下がってしまいます。
一方アメリカでは、住宅所有年数は5~8年と短く、一生で平均7回買い換えるといわれています。また、築年数よりも実際に物件として使用できる状態かどうかが重要視されています。そのため、たとえ100年以上経過している物件でも、何度もリノベーションが行われ、資産価値が高いものが多いです。そして日本と同様、アメリカも木造が主流なので、築22年以上の中古木造物件を探すのは難しくありません。
アメリカ不動産の法定耐用年数は新築中古構造に関係なく、一律27.5年ではあります。けれども、日本は「全世界所得課税」というものを採用しており、世界のどこで得た収入も日本の税制に則って日本で申告することが義務づけられています。そのため、築22年以上の木造住宅であれば、耐用年数は22年で計算できるというわけです。つまり、かなりの確率で4年間でのスピード減価償却が可能になります。
また、減価償却の対象は建物のみと決められており、日本とアメリカでは建物と土地の価値比率が異なります。日本だと、物件に対して建物の比率は約2~3割にしか過ぎません。人口に対しての土地面積が狭いため、土地の価値が高いとされているのです。アメリカでは反対に、建物価値が高く、約7~8割(州・地域や物件によって変動)となっています。スピード減価償却が可能な上に、その対象額が非常に高いということになります。
下の計算式は、仮に築22年で価格が1000万円の不動産を購入した際の、日本とアメリカでの減価償却費の比較になります。※建物比率は、日本が20%、アメリカが80%で計算
日本:1000万円×20%÷4(減価償却年数)=50万円
アメリカ:1000万円×80%÷4(減価償却年数)=200万円
アメリカで不動産を購入した際に計上できる費用のほうが格段に高いことがわかります。つまり、それだけ課税所得から差し引くことができ、節税につながります。中古物件の多くでスピード減価償却が可能です。加えて、建物比率も高いため、アメリカ不動産を保有した場合の節税効果は非常に大きいです。日本の不動産投資では得られないメリットがそこにはあります。
柳原 大輝
WIN/WIN Properties, LLC 共同代表
株式会社WIN WIN Properties Japan 代表取締役