12月開催の米国血液学会の注目点

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

2018年12月1日~4日にかけて米国血液学会が開催されますが、11月1日に公表された要旨の内容を受けて、良好なデータが発表されることへの期待が高まっています。バイオ医薬品企業の株価は、新薬候補(パイプライン)の研究開発動向によって大きく変動することが多くあることから、学会での発表内容に注目が集まっています。

米国血液学会議の要旨発表を受けて、バイオ医薬品株式が上昇

2018年12月1日~4日にかけて米国・サンディエゴで第60回米国血液学会議年次総会(以下、米血液学会(ASH))が開催されます。

 

2018年11月1日には開催に先立ち学会の要旨(アブストラクト)が公表されましたが、多くのバイオ医薬品企業が注目のパイプラインについて治験結果などの良好なデータを公表するとの期待が高まりました。

 

これを受けて2018年11月1日のバイオ医薬品関連株式の代表的な指数であるナスダック・バイオテクノロジー指数は、前日比+4.1%(米ドルベース)の大幅な上昇となりました(同日の米国株式(S&P500種株価指数)は同+1.1%(米ドルベース))(図表1参照)。

 

[図表1]2018年11月1日のナスダック・バイオテクノロジー指数およびS&P500種株価指数の騰落率

ドルベース 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ドルベース
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

BCMA関連のデータ発表が注目

今回の米血液学会で注目されているのが、多発性骨髄腫の標的として最も関心の高いもののひとつであるBCMA(B細胞成熟抗原)に関するデータが複数の企業から発表される予定です。

 

米大手バイオ医薬品企業セルジーンとブルーバード・バイオ(米国)は、BCMAを標的とするCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)療法についての追加のデータを発表する予定です。なおセルジーンは別に慢性リンパ球性白血病に対するCAR-T療法や、再発/治療抵抗性非ホジキンリンパ腫に対する主力のレブラミドとロシュ(スイス)のリツキサンの併用についてもデータを発表する予定です。これらの治療について公表された学会要旨が今後の期待を高めたこともあり、11月1日のセルジーンとブルーバード・バイオの株価は、それぞれ前日比+5.6%、同+13.5%と大きく上昇しました。

 

 

また米大手バイオ医薬品企業アムジェンも、骨髄腫に対するBCMAを標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体AMG420のデータを発表する予定です。AMG420については、9月に一部アナリストが高く評価したデータが発表されており、追加のデータ発表にも注目が集まっています。

 

さらにBCMA関連以外では、血友病(スパーク・セラピューティクス(米国))や鎌状赤血球症(ブルーバード・バイオ)に対する遺伝子治療についてもアップデートがある他、グローバル・ブラッド・セラピューティクス(米国)も鎌状赤血球症の治療薬候補についてデータを発表します(今後の定期的なアップデートが期待されます)。

新薬の開発/治験の動向がバイオ医薬品 株式の株価を大きく左右

バイオ医薬品関連企業の株価は新薬の治験結果や当局の新薬承認の可否に大きく左右される傾向があります。サレプタ・セラピューティクス(米国)のケースを見てみると、同社のデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬Eteplirsenの治験結果や承認申請を巡る動きの中で、株価が大きく上下していることがわかります(図表2参照)。

 

[図表2]サレプタ・セラピューティクスの株価推移

ドルベース、日次、期間:2014年12月31日~2016年12月30日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ドルベース、日次、期間:2014年12月31日~2016年12月30日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

新薬候補(パイプライン)の治験結果などの研究開発動向については、医学学会などで発表されることが多くあります。学会の要旨が公表されるタイミングや学会での発表後に、発表内容の評価によってバイオ医薬品関連企業の株価は大きく変動する可能性があります。

 

 

2018年12月に開催される米国血液学会でも多くのパイプラインのアップデートがなされることから、発表内容次第では株価が大きく変動する可能性があり、注視していく必要があるでしょう。

 

※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。

 

(2018年11月9日)

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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