
政策金利は据え置き
全会一致の決定
■米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、11月7日から8日にかけて開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通り、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導レンジを、2.00%~2.25%で据え置くことを決定しました。
政策金利と物価上昇率の推移

(注2)物価上昇率はPCE(個人消費支出)コア物価指数の前年同月比で、2007年1月~2018年9月。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

声明文は前回とほぼ同じ内容
緩やかな利上げを継続へ
■国内経済については、「設備投資の伸びが年前半の急速な勢いからは鈍化したものの、個人消費が引き続き力強く拡大」したため、「景気と雇用は力強い速度で成長し、失業率は低下」との評価を据え置きました。
■物価に関しては、前回から変更がなく、「上昇率は+2%近くにとどまった」、「長期のインフレ期待(将来のインフレに対する予想)に、変化はほとんど見られない」でした。
■経済見通しに対するリスクも、「上振れと下振れで概ね均衡」で、変更は見られません。
■今後の金融政策の方向性については、従来通り「経済及び労働市場の情勢は、さらなる漸進的な利上げを正当化する」としました。
FOMC参加者の経済見通し

(注2)FOMCメンバーによる予測の中央値。GDPと物価上昇率は10-12月期の前年同期比。物価上昇率は個人消費支出(PCE)物価指数。失業率は10-12月期の平均値。FFレートは各年末時点における誘導レンジの中間値。
(出所)FRBの資料を基に三井住友アセットマネジメント作成

政策金利の着地点は3%程度と見られる
■今後の焦点は、FRBがどこまで利上げを継続するかですが、物価の落ち着き等を踏まえると、今年は12月にあと1回(年間で合計4回)、来年は2回程度の利上げが行われ、政策金利の着地点は中立金利(景気を刺激も抑制もしない金利の水準)とみなされる3%前後になると予想されます。
■8日の米国市場では、政策金利が据え置かれたものの、緩やかな引き上げの方針が改めて示されたことから、米ドルが円、ユーロ等の主要通貨に対して上昇、S&P500種株価指数が反落しました。他方、債券相場は、声明文の内容が前回からほとんど変化がなかったため、小動きにとどまりました。
(2018年11月09日)
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