米国株式は再び調整
ナスダックは7年ぶりの下落率
■10月24日、米国株式市場はテクノロジー関連株を中心に大幅に下落し、NYダウ平均株価は前日比▲2.4%の2万4,583.42ドル、S&P500種指数は同▲3.1%の2,656.10ポイントで引けました。ナスダック総合指数は同▲4.4%となり、一日当たりの下落率としては2011年8月以来の大幅な調整となりました。
■これまで主要国の中で目立って堅調に推移してきましたが、この下げによりNYダウ平均とS&P500種指数の年初来リターンもマイナスに転じました。
米国株式市場の動向
S&P500種指数の予想株価収益率の推移
下落要因は業績懸念と国内景気
貿易摩擦の影響が懸念される
■昨日の株価調整の主因は企業業績に対する懸念でした。現在、米国企業の7-9月期業績発表が本格化していますが、関税引き上げや原油高等によるコスト上昇の影響が出ています。加えて、昨日は大手半導体企業から需要の低下が言及され、貿易摩擦による景気減速が実現しつつあるとの見方につながりました。
■国内景気については、新築住宅販売の大きな下振れが嫌気されました。こちらはハリケーンの影響が出ていると見られ、懸念は行き過ぎの可能性があります。
株式市場の動揺により、米国当局の政策変更の可能性も?
■先月まで米国株式市場は堅調に推移してきました。これは財政支出や減税によって国内景気が極めて堅調で、業績も高く伸びていた一方、貿易摩擦については影響が現れていなかったために比較的楽観的にとらえられていたと考えられます。こうした見方に対する修正が一気に進んでいる可能性があります。
■株式市場は当面不安定な相場展開が続く可能性があります。この流れが変わるためには、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げスタンスの変更や米通商政策の強硬姿勢になんらかの転換等が示される、などの変化が求められそうです。いずれも現時点で市場ではあまり期待されていませんが、その可能性には注意したいと思います。
(2018年10月25日)
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