人民元は下落に歯止め
中国当局が元安抑止策
■人民元は米中貿易摩擦の激化により4月以降対米ドルで下落基調が続いてきましたが、1米ドル=7.0元に近づいてきた局面で、中国当局から元安抑止策が打ち出され、持ち直しました。8月半ばに一時6.9元台まで売られた人民元は、足元では6.8元台で推移しています。また、中国の李克強首相は9月19日の講演で、人民元の一段安を望まない考えを示しました。中国政府は、更なる元安を望まない水準として7.0元を意識していると考えられます。中国当局のコントロールにより、人民元はレンジ内で推移するとみられます。
人民元
インドルピーは最安値圏
インドネシアルピアも98年以来安値
■アジアの新興国通貨は総じて軟調に推移しています。米利上げが継続するなか、8月に起きたトルコショックにより、新興国通貨全般に下落圧力が強まったことが背景です。9月半ばのトルコの大幅利上げを契機に多くの新興国通貨は反発しましたが、インドやインドネシアなど経常赤字国のアジア通貨は目立った買い戻しがみられず、対米ドルでインドルピーは最安値圏、インドネシアルピアも98年につけたアジア通貨危機以来の水準で推移しています。
インドルピー
■インドルピーとインドネシアルピアは、政治要因等も嫌気されています。インドやインドネシアは来春に総選挙や大統領選挙を控えており、政治の不透明感や、選挙目的の財政支出拡大が懸念されています。更に、インドでは一部金融機関の資金調達難に対する懸念も通貨安の材料となった模様です。このため両国の通貨は当面上値が重そうです。
インドネシアルピア
(2018年09月28日)
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