イラン減産の影響が意識され、原油価格を押し上げ

堅調な推移が見込まれる原油価格(2018年9月)/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
イラン減産の影響が意識され、原油価格を押し上げ

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

価格は堅調に推移

1バレル当たり70ドル近傍で推移

 

■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、 8月半ばのトルコリラ急落に伴う新興国不安がエネルギー消費を抑制し、先行きの需給が緩むとの思惑につながり、8月15日に1バレル当たり65.06ドルと直近の安値を付けました。その後は、新興国不安が和らぐ中で、米国の対イラン制裁による原油供給の減少も意識されて価格が持ち直し、同70ドル近傍での推移となっています。

 

原油価格と北米のリグ稼働基数

(注)データは原油価格が2014年1月3日~2018年9月20日、リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年9月14日。ともに週次データ。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは原油価格が2014年1月3日~2018年9月20日、リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年9月14日。ともに週次データ。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

需給バランスは良好

18年上半期は小幅な需要超過

 

■「石油輸出国機構(OPEC)月報」の9月号によれば、18年上半期の原油需要は世界全体で日量9,784万バレルでした。これに対し、供給量は同9,781万バレル(うちOPECの生産量は同3,229万バレル)にとどまりました。差し引き同約2万バレルの需要超過となります。

 

■僅かながら需要超過となる中、米国によるイラン制裁による供給不安が台頭しています。実際、イランの生産量は7月から8月にかけて減少しました。また、協調減産に参加しているOPEC加盟国全体の生産量は、8月にかけて増加はしたものの、合意された生産枠はほぼ守られています。

 

世界の原油需給見通し

(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。 (注2)単位は百万バレル(日量)。 (注3)2017年は実績。2018年と2019年はOPECによる予想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。 (注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。 (出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。
(注2)単位は百万バレル(日量)。
(注3)2017年は実績。2018年と2019年はOPECによる予想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。
(注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。
(出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

堅調な推移が見込まれるが、イラン制裁の影響等には注意が必要

 

■需給動向から判断する限り、原油価格は今後も堅調に推移する見通しです。ただし、11月には原油取引に関する米国の対イラン経済制裁が発動される予定であり、さらなる生産減少の影響には注意が必要です。

 

■一方、サウジアラビアや、米シェールオイルに原油の供給余力が残っているため、大幅な原油高にはなりにくいと考えます。これらを踏まえると、引き続き1バレル当たり70ドル前後での推移が見込まれます。

 

(2018年09月21日)

 

関連マーケットレポート

2018年9月12日 米中貿易摩擦懸念下で高値を更新する米国株式市場
2018年9月07日 貿易摩擦の激化により下落する『商品価格』

●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友アセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友アセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧