価格は堅調に推移
1バレル当たり70ドル近傍で推移
■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、 8月半ばのトルコリラ急落に伴う新興国不安がエネルギー消費を抑制し、先行きの需給が緩むとの思惑につながり、8月15日に1バレル当たり65.06ドルと直近の安値を付けました。その後は、新興国不安が和らぐ中で、米国の対イラン制裁による原油供給の減少も意識されて価格が持ち直し、同70ドル近傍での推移となっています。
原油価格と北米のリグ稼働基数
需給バランスは良好
18年上半期は小幅な需要超過
■「石油輸出国機構(OPEC)月報」の9月号によれば、18年上半期の原油需要は世界全体で日量9,784万バレルでした。これに対し、供給量は同9,781万バレル(うちOPECの生産量は同3,229万バレル)にとどまりました。差し引き同約2万バレルの需要超過となります。
■僅かながら需要超過となる中、米国によるイラン制裁による供給不安が台頭しています。実際、イランの生産量は7月から8月にかけて減少しました。また、協調減産に参加しているOPEC加盟国全体の生産量は、8月にかけて増加はしたものの、合意された生産枠はほぼ守られています。
世界の原油需給見通し
堅調な推移が見込まれるが、イラン制裁の影響等には注意が必要
■需給動向から判断する限り、原油価格は今後も堅調に推移する見通しです。ただし、11月には原油取引に関する米国の対イラン経済制裁が発動される予定であり、さらなる生産減少の影響には注意が必要です。
■一方、サウジアラビアや、米シェールオイルに原油の供給余力が残っているため、大幅な原油高にはなりにくいと考えます。これらを踏まえると、引き続き1バレル当たり70ドル前後での推移が見込まれます。
(2018年09月21日)
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