米中貿易摩擦懸念と株高
繰り返される政治リスク
■米国株式市場は8月29日に、ナスダック総合指数、S&P500種指数が最高値を更新しました。米国とメキシコが北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で大筋合意したことなどが好感されました。しかし、8月末にトランプ大統領が中国に対し、輸入品2,000億ドル相当分を対象とした追加関税を9月前半にも課す意向を示したことで、米国株式市場は再び調整しました。また、9月7日には、トランプ大統領が中国からの輸入品すべてに関税を賦課する用意があると警告したことを受けて下落しました。
米国主要株価指数の推移
揺るがない業績見通し
四半期ベースで20%超の増益が続く
■こうした中でも、米国株式市場が上昇基調を維持しているのは、米国企業の業績が好調であることが背景となっています。トムソンロイターズの調べによれば、S&P500採用企業の1株当たり利益は前年同期比で+20%超の増益が2018年下期も続く見通しです。2019年も通年で+10%台の成長が期待されます。
S&P500採用企業の1株当たり予想利益
好業績と政治リスクの綱引き
■対中制裁関税第2弾(2,000億ドル分に25%)の段階的な発動やすべての中国からの輸入品への関税賦課の可能性が高まっています。一方中国は、11月6日の米中間選挙をまたいで貿易交渉を継続する戦略をとると見られ、米中の課税合戦の終息にはまだ時間がかかると思われます。
■米国株式市場は、トランプ政権の通商政策を含めた政治リスクが足かせとなり、一進一退の展開となりそうですが、好業績が揺るがなければ中期的には堅調な地合いが続くと思われます。
(2018年09月12日)
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