借金を肩代わりしてでも買いたいという例もある
異業種や他地域の会社から見れば、成績がさほどではない会社でも魅力があるもの・・・。そのようにいわれたところで「ウチの会社のバランスシートは負債が目立つ。そのうえ、去年も今年も赤字」と諦めているオーナー社長もいるかもしれません。
何度もいいますが、それでも買い手が興味を示すことはあります。少なくとも十数年、数十年続いてきた会社には、そもそも何がしかの魅力があるはずです。それがために、これまで潰れずに事業を続けてこられたのではないでしょうか。
一例ですが、都内の一等地、山手線のある駅前のビル内で、調剤薬局を開いていた会社がM&Aされたことがあります。
地の利や資格を有するという魅力はあったものの、その会社は経営には長けていませんでした。そして、多額の負債が悩みの種だったのです。 負債の返済に苦労して、自転車操業が続くような経営状態でした。
それでも、買い手がついたのです。
買い手は借入金をすべて引き受け、この調剤薬局を買収したのでした。負債が多いという条件はあったものの、駅からの動線もよいうえ、自社とのシナジー効果が十分にあると踏んでの買収でした。
取引先や「顧問」以外の意見・見識を参考にする
許認可を受けて企業活動しているタクシー会社や運送会社も同様です。既に述べたように債務超過や赤字会社でも、権利など欲しさに、買いたいという会社が名乗りを上げることがあります。つまり、M&Aの成否の一端は買い手が握っているということです。
ところで、税理士や会計士、弁護士といった士業の方々を「顧問」として迎えている会社も多いでしょう。しかし、こうした人たちが、一般にM&Aの経験や実務に長けているとは限りません。
これらの士業の方々は、顧問先の会社がM&Aで買収されることは契約先が減ることにもなり、仮にM&Aで売れる可能性があっても、後ろ向きに対応することも考えられます。
今や、海外からも買い手が現れる時代です。普段の付き合いや常識を離れたところで、様々な買い手が現れる可能性があると考えておくべきです。