無駄な人材、不必要に高い役員報酬や退職金、売り上げ至上主義に傾いた経営など、M&Aに際して見直しておくべきポイントはいくつもあります。ここでは、客観的な見直しが求められるポイントについてご紹介します。

会社にある“ムダ”を明確化しておく

会社を売却するために資産内容を精査していく過程で、会社にとっての“ムダ”にも気付くはずです。 
 
逆にいえば、M&Aで会社を売る、かつ高値で売るためには、日ごろから経営や財務を筋肉質にしておく必要があります。つまり、経営のスリム化と利益重視のスタンスです。 
 
義理がある人から雇ってくれと頼まれた人材などがダブついていないか、役員報酬や退職金が常識を超えて高くないかといった点などを見直します。 
 
もちろん、オーナー社長自身の報酬や保険の支払いなどについても、高すぎないかを見直しておく必要があるといえます(ただし、M&Aの際には社長の報酬分などは差し引いて計算するのが一般的)。

 

 

売り上げ至上主義に陥っていないか?

会社の業績が堅調で、売り上げが予想を超えて伸びている。それはたしかに素晴らしいことですが、その結果、利益の管理が後回しになっていないでしょうか。 
 
また、「売り上げさえ伸びていれば、利益は後から付いてくる」とばかりに、売り上げ至上主義に陥ってしまっていることもあります。 
 
さらに、売り上げが増えた結果、利益も相応に伸び、法人税を減らしたいがために、過剰な交際費などで経費を増やそうとする例もあるでしょう。 
 
適正な交際費はもちろん会社に必要なことですが、圧縮することで利益を増やすことにはなるので、利益と経費のバランスが大切になってきます。「ウチは本当はもっと利益が出る」といっても、簡単には信用してもらえません。

第三者の目線で見た適正な経費と利益

もっとも、とにかく経費を減らして利益を増やそうとやみくもになりすぎるのも考えものです。 
 
売り上げ重視よりも利益重視という基本スタンスを取ったうえで、「利益と経費のバランスをどの辺りにするか?」を、信頼できる第三者の目線で見てもらいましょう。いわば損益計算書の見直しです。 
 
M&Aコンサルティング会社のアドバイザーの意見などもよく取り入れて、会社を売るときのことも考え、経費を客観的な水準に落とし込めればいうことはありません。

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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