会社の価値は、買い手のシナジーや
見出される魅力によって上下する

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会社の価値は、買い手のシナジーや 見出される魅力によって上下する

M&Aでは買い手に対し、会社の価値がわかるように、数字をまとめていかなければなりません。しかし、数字だけでは測れないデメリットもあり、難しいところです。ここでは、そのように数字を算出するのか、基本的な考え方をご紹介します。

最後はすべてを数字化・可視化するのが理想

前項で説明したような諸々の権利や、数字ではなかなか表しにくい価値についても、最終的にはすべて数値に落とし込むことが理想です。 
 
M&Aを成功させるためには、その会社の価値が買い手にひと目でわかるように、客観的な一つの数字にまとめなければならないからです。 

いうまでもなく、帳簿の数字だけではわからない、見えない、会社のマイナス面もあります。 
 
一見すると周辺相場と変わらない価値があると思える建物でも、地震の影響で基礎が歪んでいたり、設置物の裏などに大きなひび割れが生じていたりするケースもあります。 
 
また、資産内容や会社の技術力が優れていても、決算処理が曖昧で不明朗な経費が多いとなると、それで評価が下がるというケースもあります。 
 
特に買い手が上場企業や大手企業の場合、株主総会などの公の場で以下のように説明を求められることもあります。 
 
「なぜこの会社を買ったのか。メリットは?」「DCFの前提条件は妥当なのか」など。買い手には、数字面の根拠を伴わせて明確に説明する必要があるということを、売り手もよく理解しておきましょう。

売り値は買い手の視点や希望で変化する

このように、売りに出す会社の価値は、買い手のシナジーの大きさや、何に価値を見出してM&Aを進めるのかによって、上がったり下がったりするものです。
M&Aによる売買価格は、売り手だけでなく買い手の問題でもあるわけです。 
 
過去の成績表といえる決算書の数値に、今後の利益の推移といったストーリーを加味して、決算書では見えない価値を付加したり買い手の事情も考慮したりするわけです。 
 
これらを客観的に判断して、最終的に一つの数字に落とし込んでいくのがM&Aコンサルティング会社のアドバイザーの仕事なのです。 

 

 

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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