「守りの戦略」だけでなく「攻めの戦略」を練る
資産を棚卸しすることは自らの保有資産を見直し、子孫に上手に残していくための相続対策の第一歩です。しかしこうした作業は、それ自体が目的ではありません。
重要なのは、前回説明した「相続財産目録」といった書類を元に、相続が発生する前の対策という「守りの戦略」だけでなく、今ある資産をより収益性の高いものにして、子孫に渡す、いってみれば「攻めの戦略」を練ることです。
「収益性」を中心に考えた資産に見直す理由とは?
これまで富裕層のご相談に応じてきた経験からすると、相続に関しては比較的、何らかの対策を講じていらっしゃる方がほとんどです。
しかしその一方で、本来の目的だった「資産運用」が非常におろそかになっている印象があります。つまり、資産の収益性・換価性(現金化しやすいかどうか)などを分析し、その時々の社会の動きに合わせて資産の構成を見直したり、活用法を変えるということをせず、資産を保有し続けることだけに注力しているのです。それでは、収益を生むはずがありません。
これまでなら、あまり大きな損失にならなかったかもしれません。しかしこれからは、何もしなければ相続のたびに資産は霧散し、孫の代には何も残っていないということになってしまいます。考えを切り替え、資産が少しずつでも収益を生む形をつくっていくことが大事です。
収益性を中心に考えた資産の見直しができれば、相続を負担なく乗り越えられるだけでなく、この後、30年、50年と子孫に資産を残していくことも可能になります。
資産は「持っているだけ」から「収益を生む」ものにつくり直していく作業が必要なのです。