前回は、スムーズな相続のために実施しておきたい「資産の棚卸し」について説明しました。今回は、資産をより収益性の高いものにする方法を見ていきます。

「守りの戦略」だけでなく「攻めの戦略」を練る

資産を棚卸しすることは自らの保有資産を見直し、子孫に上手に残していくための相続対策の第一歩です。しかしこうした作業は、それ自体が目的ではありません。

 

重要なのは、前回説明した「相続財産目録」といった書類を元に、相続が発生する前の対策という「守りの戦略」だけでなく、今ある資産をより収益性の高いものにして、子孫に渡す、いってみれば「攻めの戦略」を練ることです。

「収益性」を中心に考えた資産に見直す理由とは?

これまで富裕層のご相談に応じてきた経験からすると、相続に関しては比較的、何らかの対策を講じていらっしゃる方がほとんどです。

 

しかしその一方で、本来の目的だった「資産運用」が非常におろそかになっている印象があります。つまり、資産の収益性・換価性(現金化しやすいかどうか)などを分析し、その時々の社会の動きに合わせて資産の構成を見直したり、活用法を変えるということをせず、資産を保有し続けることだけに注力しているのです。それでは、収益を生むはずがありません。

 

これまでなら、あまり大きな損失にならなかったかもしれません。しかしこれからは、何もしなければ相続のたびに資産は霧散し、孫の代には何も残っていないということになってしまいます。考えを切り替え、資産が少しずつでも収益を生む形をつくっていくことが大事です。

 

収益性を中心に考えた資産の見直しができれば、相続を負担なく乗り越えられるだけでなく、この後、30年、50年と子孫に資産を残していくことも可能になります。

 

資産は「持っているだけ」から「収益を生む」ものにつくり直していく作業が必要なのです。

本連載は、2015年1月23日刊行の書籍『大増税時代に資産を守る富裕層の不動産活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

大増税時代に資産を守る 富裕層の不動産活用術

大増税時代に資産を守る 富裕層の不動産活用術

磯部 悟

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の富裕層のほとんどは土地を所有している地主です。先祖から受け継いだ土地を保有し、それを活用することで資産を守ってきました。ところが土地の値下がりや固定資産税の上昇、そして相続税により多くの富裕層が危機に立た…

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