英語で読む決算書…売上総利益と営業利益を改善するには?

今回は、会社のGross profit(売上総利益)とOperating income(営業利益)の低下を改善する方法について見ていきます。※本連載は、第一工業大学准教授・建宮努氏の著書『ゼロから始める!すぐに役立つ!英語の決算書の読み方』(アルク)から一部を抜粋し、初心者でも理解しやすい財務分析の基礎・英語の決算書の基本的な読み方を解説します。

売上総利益の改善には売上原価の見直しが効果的だが…

リュート先生:さて、さらに先を考えてみましょう。下の図をよく見てみると、上から3番目の Gross profit(売上総利益)がどんどん下がっているよね。これはどうしたらいいだろう?

 

[図表1]Income statement の実数による傾向分析と直し方④

 

理郎:Gross profit(売上総利益)は、Sales(売上)から Cost of sales(売上原価)、つまり商品の仕入値を引いて、とりあえずもうかった分ということなので、売上が伸びているのに売上総利益が下がっているということは、売上原価がどんどん上昇していて、売上の伸びを超えちゃっているってことですよね。

 

リュート先生:そうだね。そういう場合は一体どうしたらいいかな?

 

明日実:仕入先に交渉すればいいんじゃないですか?もっと安くしてよって。

 

順子:ちょっと待って、ただ安くしてって言われてもあなたなら値引きする?相手にもメリットがないと安くしてくれないんじゃないかなあ。

 

理郎:理論的に考えると、仕入先が安くしてくれるケースとは、①もっとたくさん買ってくれるので、単体の利益率は減るけど合計の利益額が増えるとき、②現金で買ってくれるのでお金の回収の心配がなくなるとき、③長期的に継続契約してくれるので先々の売上の心配がなくなるとき、のどれかですよね。

 

リュート先生:そうだね。そういう交渉をすることが仕入値を安くしてもらう基本です。相手にもメリットがある交渉をすることで、自分もメリットを得るようにしましょう。

 

でも、例えば世界中で物が不足していて、どこに行っても高い仕入値でないと買えない場合がありますよね。そういう場合はどうしますか?

 

名瀬:それは、例えばガソリンとか穀物のように世界的に価格が上下するような物を仕入れるときに、世界中どこでも高い場合はどうしたらいいかってことですか?

 

リュート先生:そうそう。これは実際よくあること。例えばあなたがパン屋さんだとして、お客さんに対する売値を上げるとほかの店に行って戻ってこないので、売値は変えられないけど、原料の小麦が世界中で値上がりしていたらどうしますか?

 

名瀬:それは困りますね~。どんどん利益が少なくなってしまいます。でも、どうしようもないですよね?ずっと続いたら倒産しちゃうかも・・・。

 

リュート先生:そういう場合は、ウルトラCで、原材料そのものを変えるという手もあるんですよ。これは実際に日本で起きたことで、政府は原料の小麦を、米に変えてパンやパスタを作るように指導したのです。日本では米の需要が減って米が安くなっていたから米を使ってもらうと、パン屋さんは利益が出るようになり、政府は余っていた米が在庫処分でき、食料自給率も上がるので、それぞれにメリットがあったのです。

 

理郎:なるほど!みんな頭を使って日々問題を解決しているんですね!

販売費や一般管理費のコストを下げるには?

リュート先生:工夫して売上原価が下がると、下の図のように売上総利益が増えていくんだ。でも下の会社は、Operating income(営業利益)がどんどん減っているね。これはどうしたらいいかな。

 

[図表2]Income statement の実数による傾向分析と直し方⑤

 

理郎:Operating income(営業利益)が減っているということは、Distribution costs(販売費)や Administrative expenses(一般管理費)がどんどん増えているということですよね。

 

リュート先生:そうそう。だから、その2種類のコストを下げなくちゃいけないんだ。

 

明日実:というと・・・リストラですか!人員整理して人件費(Salaries expense)を下げるんですよね!

 

リュート先生:いやいや・・・普通はその前にできることからやるんですよ。まずは大きな費用から順番に減らせないかどうか検討するんです。

 

理郎:多くの会社で、一番大きなコストは広告宣伝費(Advertising expenses)や販売促進費(Promotion costs)だって聞いたことがあります。

 

リュート先生:そうそう。さえてるね!会社の広告宣伝費や販売促進費、つまり新しいお客さんを探したり、新商品を世に広めたりするコストはびっくりするくらい大きな金額だから、まずはそこを工夫するんだよ。

 

順子:例えばネット広告に切り替えたり、SNSの口コミを活用したりするってことですか?

 

リュート先生:そうだね。そしてより低いコストでも高い効果が出るように工夫していくんだ。それから会社の中の無駄を1つずつ改善していくとだんだん営業利益が出る体質に変わっていくんだよ。

 

[図表3]Income statement の実数による傾向分析と直し方⑥

 

<まとめ>

◎Gross profit(売上総利益)を増やすためには、仕入値を下げるための交渉や、安い原材料を探す工夫が効果的。

 

◎Operating income(営業利益)を増やすためには、広告宣伝などについてより低いコストで高い効果が出せるように工夫し、会社内の無駄なコストをなくしていくことが効果的。

 

<学んだことを明日の会社で生かすためのヒント>

◎まずは自分の会社について、どのような原価や費用が一番大きな金額なのかを調べてみましょう。

 

◎一番大きなコストが分かったら、もっと少ない金額で同じ効果が出る方法がないか考えてみましょう。良いアイデアが出たら実行案を考えて提案してみましょう。

第一工業大学 准教授(経営学)

博士(総合社会文化)、中小企業診断士、BATIC(国際会計検定)コントローラーレベル。1966年生まれ。出版社、大手通信教育会社、ベンチャー企業役員などを経て現職。

著者紹介

連載基礎から学ぶ「英語の決算書」の読み方

ゼロから始める!すぐに役立つ!英語の決算書の読み方

ゼロから始める!すぐに役立つ!英語の決算書の読み方

建宮 努

アルク

グローバル化時代の2つの共通言語、「会計」の基礎と関連する「英語」を同時に学習。 会計知識を持たない人を対象に、英語の決算書の読み方について初学者がおさえるべき、かつビジネスですぐに役立つポイントを伝授します。

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