2015年度の税制改正で相続税の基礎控除の引き下げ等が行われた結果、相続対策が必要な人が続出しています。本連載では、多くの図表を用いながら、相続財産の「評価・申告」の際に可能な節税策について、誰にでも分かりやすく紹介します。 

財産は「亡くなった日の時価」で評価される

<ココに注意!>

1:相続財産は亡くなった日の時価で評価されるが、さまざまな要因で評価が異なることがある。

2:市街地にある土地は「路線価方式」で評価し、それ以外の土地については「倍率方式」で評価する。

3:同じ路線価の土地でも、形状などによって評価が異なるため、節税の可能性がある。

 

相続税の計算をする場合、財産の評価額は、亡くなった日の「時価」と決められていますが、財産によって評価には一定のルールがあります。

 

「時価」とは、その財産の現況に応じて、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に成立すると認められる価格をいいますが、一定のルールにより評価をするので、財産の評価は誰が計算しても同じになると考えてしまうかもしれません。

 

しかし実際には、さまざまな要因で評価の違いが生じることになります。

土地は基本的に「路線価×面積」で評価される

土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。市街地にある土地は「路線価方式」で評価し、それ以外の土地については「倍率方式」で評価します。

 

路線価とは、路線(道路)に面する最も利用効率が高い土地の1㎡当たりの時価を表しており、国税庁が毎年公表しています。路線価方式で評価するには土地に面している道路の路線価を確認し、次に登記簿や固定資産評価証明書で確認した土地の面積を掛けて計算します。

 

一方、倍率方式とは、路線価が定められていない地域の評価方法です。その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。この倍率も国税庁が公表します。

路線価方式は「マイナス要因」を考慮して算出

路線価に面積を掛けて評価額を出す場合、たとえ同じ「路線価」のついている道路に面しているとしても、その形状等にはそれぞれ違いがあります。評価する土地には何らかのマイナス要因を含んでいることもあり、必ずしも「路線価×面積」が適正な評価額とはならない場合もあります。

 

こうした状況を正確に判断するために、土地の現地調査をし、マイナス要因を把握します。これを土地の評価額に反映させることで評価減につながります。

 

たとえば、土地の一方のみが路線に面している場合、間口が狭い場合、奥行きが長い場合、がけ地や不整形地、無道路地である場合などは、一定の割合を減算して評価することになっています。これを路線価方式の減算項目といいます。

 

土地の評価額が減ると課税評価額も減ることになりますので、節税が可能となるのです。

 

[図表]土地の評価から節税のポイントを探る

 

 

<キーワード>

 

現地調査(げんちちょうさ)

相続時点の土地をはじめとする不動産の評価額を正しく算出するために現地に実際に赴き調べること。登記簿や公図、住宅地図、路線価図などを事前に準備しておくと、現地調査をスムーズに行うことができる。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

本連載は、2018年5月29日刊行の書籍『図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル 改訂新版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル 改訂新版

図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル 改訂新版

曽根 惠子

幻冬舎メディアコンサルティング

「評価を下げる+納税を減らす」「節税の実績を持つ専門家を選ぶ」で相続税は節税できる! 平成27年の相続税の改正から、基礎控除の引き下げなどがあり、今までに増して相続対策が必要な時代になります。本書は、「亡くなっ…

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