上場企業の参入目的は主に「4つ」
BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。
仮想通貨市場の将来を予測し、今後の投資に役立てていただくための情報をお伝えしていきます。今回のテーマは、上場会社が仮想通貨事業に参入するとどうなるかです。
2018年に入り、エイベックスやLINEなど、上場企業の仮想通貨関連事業への参入発表が相次いでいます。社会的信頼性の高い上場企業による仮想通貨事業の立ち上げは、仮想通貨市場にどの程度インパクトを与えるのでしょうか。
◆仮想通貨取引所
仮想通貨取引所の運営を目的とした参入です。すでに取引所は飽和状態にあり、顧客基盤が強い会社でなければ、インパクトは低いでしょう。
◆ブロックチェーン技術の活用
著作権管理やイーサリアムプラットフォームを活用したゲーム開発などです。内容によりますが、イーサリアム上で動くサービスなどであれば、動作時にイーサリアムトークンを必要とするためトークン調達の需要が増えます。
◆周辺サービス
ICOのコンサルティングや、会計システムの提供などで、収益の高いビジネスになる可能性があります。仮想通貨市場へのインパクトはサービスの内容にもよりますが、POSなどの決済端末に関わる良いサービスができれば、かなりのインパクトがあると思います。
◆ICOトークン発行
ICOトークンの発行が目的というより、資金調達をして仮想通貨関連事業を展開することが目的です。仮想通貨トークンの発行が目的の場合、現在国内はICOの規制があるため、国内でのICO実施は難しいところです。今後も頻発する可能性があるスキームとしては、関連会社が海外でトークンを発行するケースで、メタップスが上場企業による実施事例の第一号です。貴重な事例なので、メタップスについて詳しくご紹介します。
国内上場企業で初めてICOを実施したのは・・・
ICOによりトークンを販売することで得た収益の明確な会計基準は、未だに定まっていません。そのような環境のなか、メタップスの子会社がICOを実施し、上場企業でのICO第一号となりました。
このメタップスの事例では、トークン販売により得た収益を前受金の項目に計上しており、発行時点では利益とみなさず、将来ICOの目的を実行した際に、収益として形状する見込みです。
このケースでは、ICOで調達した10億円のほかに、発行し所有しているトークンの値が上がると、将来の利益の見込みが大きくなり株価上昇に期待がもてます。ベンチャーの未公開株の投資に近い受益構造です。
現在、ICOは軒並み発行価格を割っているため、短期での利益貢献は見込めませんが、仮想通貨市場の地合いの回復と共に、発行したトークンの値上がりに再度注目が集まる可能性は十分にあるでしょう。
昨年末はビットコイン価格の上昇後、時間差でアルトコインが一斉に値上がりしました。第6回でもお伝えしたように、ビットコインの価値が上がると、アルトコインに資金が流れ込みます。この流れには時間差があるため、ビットコインが値上がりした時点で、アルトコインや前述したメタップスなどの株を買うという流れは、スマートなアクションだと思います。
メタップスの現在の時価総額は約317億円で、発行したトークンの総時価総額は一時50億円近くまで値上がりしました。ICO売却後の現在の保有数は不明ですが、10倍などの大幅上昇もあり得るのが仮想通貨です。仮想通貨関連におけるメタップスの株価上昇余地は、まだ残っていると見ています。
上場企業の参入が、市場参加者の増加に寄与する可能性
次に、上場企業が仮想通貨関連事業に乗り出すことによる、今後の影響についてです。上場企業の参入で最も影響度が大きいのは、何といっても「信頼関係のできている大きな顧客基盤」です。
個人的な考えですが、将来的に仮想通貨を持っていなくても、ブロックチェーン上で管理されているポイントなどを個人が保有するようになるのではと考えています。もしそうなったとしても、企業によって自社サービスの顧客囲い込みに利用され、仮想通貨市場自体に資金が流動してくるわけではないでしょう。
しかし、ブロックチェーントークンに触れる機会が増えることで、仮想通貨への抵抗感を弱めたり、多くのユーザーが利用することでサービスのインターフェイスが改良されたりすることは、仮想通貨市場の参加者増加には大きく寄与するのではないかと思います。
そこで、私が個人的に注目しているのはメルカリです。主要な顧客層が、仮想通貨と親和性の高い若年層となっており、すでに仮想通貨交換業の申請を行い、決済系サービスであるメルペイを立ち上げています。
次回は、「メルカリ」が仮想通貨市場に与えるインパクトについて考察していきます。