仮想通貨交換業においてメルカリが持つ優位性とは?
BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。
仮想通貨市場の将来を予測し、今後の投資に役立てていただくための情報をお伝えしていきます。今回のテーマは、「メルカリ」の仮想通貨交換業参入による今後の影響です。
前回は、上場会社が仮想通貨関連事業に参入することで、株式市場と仮想通貨市場にどのような影響を与えるのかについて考察しました。今回は、さらにミクロレベルで、1社の企業が市場に与えるインパクトの程度について、メルカリをサンプルに考えたいと思います。
メルカリは仮想通貨交換業への申請を行い、決済などに関わるフィンテック事業の展開をはじめています。2017年11月、金融関連の新規事業を行う「メルペイ」を100%子会社として設立しました。メルカリ発行のポイントをメルカリ提供以外のサービスでも活用できる決済サービス『メルペイ』の提供を予定しています。決済サービスの普及には、ユーザー増加に先行して、利用可能な加盟店を増やすことが大事ですが、加盟店開拓会社「メルペイコネクト」を自ら設立していることから、かなり本腰を入れて決済サービスを取りにいくつもりでしょう。
筆者は、メルカリのフィンテック事業と仮想通貨関連事業は、国内IT企業のなかでもかなりの優位性を持っていると思っています。
まず、顧客基盤が10代〜20代の若年層であり、この世代は仮想通貨などの新しいプロダクトを抵抗なく受け入れることができます。この世代を囲っていて、仮想通貨交換業の申請を行っている企業として「LINE」があります。しかし、LINEユーザーはあくまでもコミュニケーションツールとしてLINEを活用しているため、決済サービスを利用させるには、かなりのプロモーション予算を投下して利用啓蒙を行う必要があります。
対してメルカリは、商品の取引により受け取った、使い道の決まっていない余剰金がユーザーの手元に溜まっています。そのため、利用啓蒙をせずとも、サービスのインフラさえ整えれば、ユーザーが流れ込む状態にあり有利だといえるのです。
注目は、メルペイの決済にアルトコインが対応するか?
メルカリの「平成30年6月期 決算短信」を見ると、MAU(Monthly Active User、1ヵ月に一度以上利用した登録ユーザ数)は1,075万人で、売上高は四半期で約961億円です。会計上の未払金が約266億円あり、このほとんどがユーザーがメルカリに預けているポイントの引き当て予定金だと思われます。
メルカリは1万円以上の出金手数料を無料にしているため、単純に出金されては利益になりません。そのため、未払金として溜まっている余剰資金を使用する決済サービスをユーザーに提供することで、決済時の手数料がメルカリの収益になるというわけです。
またメルペイの狙いは、この余剰金の利用をきっかけとした、さらなる資金流入によるパイの拡大です。メルペイの事業計画は非開示なので、あくまでも予測になりますが、決済事業の売上のうち利益率は数%と低いため、最終的に利益を回収するには事業規模の拡大が必要です。現在のメルカリの規模から考えると、この3年〜5年先で数千億規模までの成長を見越しているのではないでしょうか。
メルカリは仮想通貨交換業の申請を行っていますが、取引所を設立するのか、決済サービスのなかで仮想通貨の交換や決済を想定しているのか、どこまで範囲を広げるつもりなのかは分かりません。
注目したいのは、決済端末を普及させ、そこに仮想通貨関連の決済を入れるかです。メルペイでの決済を目的に導入した加盟店で、各種仮想通貨の決済が可能になれば、ユーザーの利便性は飛躍的に向上します。メルカリとしても、幅広い決済手段でユーザーの手数料を稼げれば利益につながるはずです。
2018年8月、仮想通貨の市場規模は約23兆円あり、メルカリ1社の影響度は市場全体では決して大きくありません。しかし、特定のアルトコインが決済端末に対応した場合、そのアルトコインへの影響度は高い可能性があるため、今後も注視すべきでしょう。