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後継者不在の企業を「よそ者」が救う!? M&Aによる事業承継

「国内企業の約3分の2にあたる66%が後継者不在」という調査結果がある。超高齢化社会に突入している日本において、後継者不足の解決は、今後大きな課題だ。そこで、期待されているのがM&Aの積極的活用である。後継者不在の企業をM&Aが救った事例を紹介する。

日本最古の老舗企業「金剛組」を救ったM&A

創業100年以上の国内企業は3万社を超えるそうです(東京商工リサーチ調べ)。世界的にみても、日本は稀な「法人長寿国」と言えます。仮に代表者の在籍年数を25年とすると、4回以上も経営者が交代している計算となります。大手生保や商社の名前もありますが、売上高でみると5億円以下の中小企業が7割以上含まれていることにも驚きます。中小零細企業も時代の荒波を乗り越え、変化に対応しながら生き残ってきたことが伺い知れます。長寿企業が増える一方で、全体的な会社の寿命は年々減少し、倒産企業の平均寿命は20年程度に短命化しつつあることは気になるところです。

 

日本最古の老舗企業は、宮大工の流れを組む社寺建築業者、「金剛組」です。創業は西暦578年、創業1,400年を超えており、世界一歴史がある企業です。聖徳太子の命で、四天王寺の建立を命じられたのが起源だと伝えられており、その歴史と伝統は圧倒的です。ただし、この老舗企業は、ごく最近、M&Aにより生きながらえた企業なのです。

 

寺社建築は木造建築がメインでしたが、近年は、防火・防災・コスト面等から鉄筋コンクリート工法が主流となっています。金剛組も時代の流れに逆らえず、一般建築への事業拡大へ方向展開したことで負債が増大し、経営危機に陥りました。

 

その窮地を救ったのは、中堅ゼネコンの髙松建設です。金剛組は2005年に救済される形でグループ傘下に入り、職人・従業員の雇用も守られました。M&Aが、業歴1,400年の伝統と技術・職人を守ったのです。

「養子縁組」もM&Aの類似形態!?

一族の存続・家を守るために優秀な血を外部から招き入れる「養子縁組」という制度も、M&Aの類似形態と言えます。スズキ自動車、アシックス、松井証券、桃屋等の事例が有名です。

 

これらのように、知名度ある優良企業であれば候補者はいるでしょうが、中小零細企業はそうはいきません。やる気のある方、経営ノウハウある方、資金ある方等の「何かを持つ人」に経営権(株式)と一緒に引き継いでもらう必要があります。

 

自然界では「強いものでも賢いものでもなく、変化できる者が生き残る」と言われています。企業経営の場合では、歴史ある業界や一族の中から「異端児」が出る可能性が少ないのが現実です。常識に囚われず経営を変革できる「よそ者」が求められています。「よそ者」が買手となりM&Aで成功した事例も増えてきています。Webマーケティングに強いIT企業による老舗教育事業業者のM&A、生産管理に長けたコンサルティング会社による食品メーカーのM&A、法人営業に強い銀行員による老舗文房具店のM&A等。それぞれ、買い手企業の強みを生かし買収後の業績を伸ばしています。

 

まずは買い手である自分の強み・興味があるものを棚卸してみましょう。謙遜してはいけません。どんな方でも必ず何かあるはずです。身近な友人、家族、同僚に聞いてみるのも良いかもしれません。新たな発見や気付きがあるに違いありません。ぜひ試してみて下さい。

 

「国内企業の約3分の2にあたる66%が後継者不在」という調査結果があります。スモールM&Aであれば、手元にさほど資金がなくても事業承継が可能です。婿養子や親族という血縁関係に縛られず、広く外部に後継者を求めるニーズと機会が急拡大しています。この記事を読んだ方から、一歩踏み出す「よそ者」が出ることが、筆者の望外の喜びです。

 

 

齋藤 由紀夫

株式会社つながりバンク 代表取締役社長

株式会社つながりバンク 代表取締役社長 

オリックス株式会社1996年~2012年。16年在籍。 在職中に多くの新規Projectに参画し、東京都、銀行、カード会社などに出向。ベンチャー企業から上場企業まで投融資を実行。経営企画部時代(約8年在籍)に、出資先の株主間調整、合弁契約解消、事業撤退・売却、海外子会社統合、債権回収業務など前向きから後ろ向き案件の対応をこなす。2012年、株式会社つながりバンク設立。スモールM&A市場の普及・拡大をメイン事業とし現在に至る。自らも小規模の事業系投資を実践中。

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