今回は、会社員を続けながら「副業で企業オーナーになる」メリットを見ていきます。※本連載では、株式会社OCL代表取締役・中小企業診断士・ITコーディネータとして活躍する四ッ柳茂樹氏が、シニア起業を考える方々向けに、副業から始める「ローリスク起業術」を紹介します。

後継者のいない会社等をM&Aで購入し、オーナーに

最近ニュース等で目にしている方も多いかと思いますが、中小企業の後継者問題がクローズアップされています。主な理由としては、経営者の跡継ぎとなる子どもや親族がいなかったり、継ぐ意思がない、あるいは経営者としての育成ができていないことなどが挙げられます。また、社員の中にふさわしい人材がいても、譲り受けるだけの資金がないというケースもあります。

 

しかし、経営者が見つからずに廃業になると、従業員が路頭に迷うだけでなく、今までの顧客にも迷惑がかかってしまいます。

 

このように、跡継ぎのいない中小企業、個人事業主の店舗などが事業承継を行う方法の一つが、M&A(吸収合併)です。

 

アメリカでは一般的な方法ですが、日本でも最近は増えはじめています。M&Aというと、これまでの従業員や役員と対立するようなイメージもありますが、そういった敵対的なものではなく、存続とさらなる発展を図っていくためのM&Aも増えています。また個人でも参画することが可能な小規模M&Aの案件も増えています。

 

既存の事業を引き継ぐので、既に資産があり、事業に慣れている従業員と、既に関係のあるお客さまもいます。起業で最も大変なのが、当初の顧客を得ることと、従業員の採用・育成です。しかしこの方法なら、起業当初の大変な部分を飛ばして事業を行うことができるのです。

 

オーナーになっても、すぐに経営に携わる必要はない

M&Aで中小企業を引き継いだ際に、すぐに会社員を辞めて社長になるという方法もあるでしょう。

 

しかしオーナーとなっても、経営そのものは今までの社長や他の従業員に任せ、自分は副業状態でいるという方法もあります。自分は引き継いだ企業から報酬を得なくてもいいので、より自由な立場で関わることができます。引き継いだ事業のことや、経営者としての勉強を行いながら、関わっていくのです。

 

経験を積み、十分にやっていける自信がついてから、本格的に経営者として「起業」します。こうすることで、元からいた従業員ともよい関係を築きやすくなるのです。また、副業中に事業が伸びてきたら早めに起業するなど、起業時期の調整などもできるようになります。

 

また、本業で培った経験や人脈を活かすことによって、引き継ぐ前までの中小企業にはなかったネットワークを使い、事業を発展させることもできるかもしれません。そういった意味では、全く関係のない事業のM&Aよりは、自分の今までの経験や人脈を活かせる方がよいでしょう。

 

特に、現在勤めている企業から発注できる中小企業を引き継げるなら、メリットはとても大きいと言えます。もちろん、勤めている企業にとってもプラスになる取引でなければいけませんが、お互いにWin-Winの関係を築くことも可能なのです。

 

副業を開始するときには、それまでの経営者の元で勉強するというやり方や、従業員との間に立てる経営コンサルタントなどの外部専門家と一緒にチームで関わっていくという方法もあります。

 

いずれにしても「人生100年時代」の準備は早いに越したことはありません。「副業」を考えるのであれば、まず一歩、行動を起こしてみることが大切です。

 

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