景気拡大に加え、協調減産が奏功して原油需給が好転

堅調に推移する原油価格(2018年7月)/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
景気拡大に加え、協調減産が奏功して原油需給が好転

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

価格は堅調に推移

1バレル当たり70ドル近傍で推移

 

■北米の代表的な原油価格であるWTI価格は、 2018年2月初旬の1バレル当たり59ドル台を当面の底に上昇基調を辿り、6月29日に同74.2ドルをつけました。およそ3年7カ月振りの高値です。その後も、概ね同70ドル前後での堅調な推移となっています。

 

原油価格と北米のリグ稼働基数

(注)データは原油価格が2014年1月3日~2018年7月19日、リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年7月13日。ともに週次データ。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは原油価格が2014年1月3日~2018年7月19日、リグ稼働基数が2014年1月3日~2018年7月13日。ともに週次データ。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

需給バランスが好転

2018年上半期は需要超過

 

■原油価格上昇の主因は、需給の改善にあります。石油輸出国機構(OPEC)月報の最新号によれば、2018年上半期の原油需要は世界全体で日量9,785万バレル、これに対して供給量はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産等が功を奏し、同9,774万バレル(うちOPECの生産量は同3,230バレル)にとどまりました。差し引き同11万バレルの需要超過となります。

 

■こうした需給の改善に加え、米国による経済制裁が発動されたイランや、経済が崩壊状態に陥ったベネズエラでの生産減が懸念されたこと、6月中旬にリビアの石油ターミナルが武装勢力に攻撃されたこと等も、価格の押し上げに寄与しました。

 

世界の原油需給見通し

(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。 (注2)単位は百万バレル(日量)。 (注3)2017年は実績見込み、2018年と2019年はOPECによる予想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は、全体の需給が一致するとの仮定のもとでの弊社算出値。 (注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。 (出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。
(注2)単位は百万バレル(日量)。
(注3)2017年は実績見込み、2018年と2019年はOPECによる予想。但し、2018年と2019年のOPEC生産量は、全体の需給が一致するとの仮定のもとでの弊社算出値。
(注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。
(出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

協調減産を巡る思惑等から、価格は神経質な展開へ

 

■OPECは、2018年6月22日の総会で、減産の緩和を目指す方針を採択しました。翌23日に行われたOPECおよび非OPEC主要産油国の閣僚会合では、協調減産の遵守率を6月実績の121%から、7月1日以降100%に引き下げる決定を行いました。

 

■これにより、OPEC、非OPEC主要産油国は、原油価格の安定を図ったと考えられます。もっとも、短期的には「OPECが実際にどの程度の減産緩和(実質的な増産)を行うのか」を巡り、市場は神経質な動きになると予想されます。

 

(2018年07月20日)

 

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