価格は堅調に推移
1バレル当たり70ドル近傍で推移
■北米の代表的な原油価格であるWTI価格は、 2018年2月初旬の1バレル当たり59ドル台を当面の底に上昇基調を辿り、6月29日に同74.2ドルをつけました。およそ3年7カ月振りの高値です。その後も、概ね同70ドル前後での堅調な推移となっています。
原油価格と北米のリグ稼働基数
需給バランスが好転
2018年上半期は需要超過
■原油価格上昇の主因は、需給の改善にあります。石油輸出国機構(OPEC)月報の最新号によれば、2018年上半期の原油需要は世界全体で日量9,785万バレル、これに対して供給量はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産等が功を奏し、同9,774万バレル(うちOPECの生産量は同3,230バレル)にとどまりました。差し引き同11万バレルの需要超過となります。
■こうした需給の改善に加え、米国による経済制裁が発動されたイランや、経済が崩壊状態に陥ったベネズエラでの生産減が懸念されたこと、6月中旬にリビアの石油ターミナルが武装勢力に攻撃されたこと等も、価格の押し上げに寄与しました。
世界の原油需給見通し
協調減産を巡る思惑等から、価格は神経質な展開へ
■OPECは、2018年6月22日の総会で、減産の緩和を目指す方針を採択しました。翌23日に行われたOPECおよび非OPEC主要産油国の閣僚会合では、協調減産の遵守率を6月実績の121%から、7月1日以降100%に引き下げる決定を行いました。
■これにより、OPEC、非OPEC主要産油国は、原油価格の安定を図ったと考えられます。もっとも、短期的には「OPECが実際にどの程度の減産緩和(実質的な増産)を行うのか」を巡り、市場は神経質な動きになると予想されます。
(2018年07月20日)
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