「ホットウォレット」での秘密鍵の管理はNG
BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。
前回は、アルトコイン投資の情報収集の仕方というテーマで筆をとらせていただきました。今回は、仮想通貨の資金管理方法についてについて解説します。
前回までビットコインを中心とした仮想通貨投資の魅力について解説してきましたが、取引所のハッキング事件が相次いでいる昨今では、実際に投資するか否かを検討する前に「大事な資産をどのように管理するのか」は理解しておきたいところです。
◆盗難を防止するには秘密鍵を自分で管理する
本連載第5回でも説明しましたが、仮想通貨で盗難が発生する原因は、秘密鍵が奪われることによるものです。秘密鍵とは、所有記録の書き換えを管理するためのデータで、取引所で売買を行う際には秘密鍵を取引所側が管理し、注文に応じて秘密鍵を使い所有権の書き換えを行っています。
コインチェック事件では、この秘密鍵がネットワーク接続のあるサーバー、通称「ホットウォレット」で管理されていたため盗難被害が発生しました。このような盗難被害の可能性をなくすための、自己保有通貨の管理方法を説明しますが、自分自身での管理は非常に面倒なものです。まずは、取引所に秘密鍵を預けた状態で、どのようにハッキング被害を回避するかを説明します。
◆取引所に預けた状態での自己防衛手段
コインチェック事件では、盗難された仮想通貨XEM(NEM ネム)に対する補償が行われましたが、盗難被害に対する救済措置がとられる事は世界的にみてもまれです。
下記に紹介する取引所に秘密鍵を預けた状態での自己防衛策は、あくまで個人資産の盗難を予防するものであって、コインチェック事件のような取引所自体のハッキング被害には対処できませんのでご注意ください。
(1)2段階認証
仮想通貨取引所において、最も手軽で有効性の高い防御手段は2段階認証です。2段階認証とは、数分ごとにパスワードが変更される認証方法です。2段階認証用のスマートフォンアプリをダウンロードして、そのアプリに表示されたパスワードを有効時間内に入力します。パスワードが常に変わることで、いまのパスワードが盗難されても、1分後にはハッキング不可能になるわけです。
(2)パスワードのユニーク化
仮想通貨に限ったことではないですが、パスワードについては取引所ごとにパスワードを変更したほうがいいです。1つの取引所がハッキングされた際に、同一のパスワードを使用していたがために、その他すべての取引所からも引き出されてしまう事態は絶対に避けましょう。
(3)公共Wi-Fiで取引所にログインしない
公共Wi-Fiでネットワーク接続している時のパスワードや取引内容は、すべて他人が見ることができると思ってください。カフェなどのWi-Fiで接続をするのであれば、携帯電話の3G、4G回線で接続したほうがセキュリティレベルは高いです。
ハッキングリスクを低減する秘密鍵の管理方法とは?
◆さらにセキュリティレベルの高い管理方法
取引所で仮想通貨を管理するメリットは、何より手間が少ないことですが、先に述べている通り取引所自体がハッキングされた場合は先ほどの対処は意味をなしません。
そこで、自分自身で秘密鍵を管理することで、ハッキング危険度を下げることができます。この方法は手間がかかるため、長期保有する銘柄に向いています。
(1)スマートフォン・PCアプリのウォレット
各仮想通貨にはオフィシャルにもアンオフィシャルにも、秘密鍵を管理するための個人ウォレットがリリースされていることが多いです。しかし、ハッカーが仮想通貨を盗み出すために作ったウォレットも世の中には出回っていますので、必ず公式サイト経由でダウンロードするようにしましょう。
(2)ハードウェアウォレット
USBメモリーの形状をしていることが多いハードウェアウォレットは、インターネット接続リスクのないオフラインで保管できるため、保管作業後はハッキングが事実上不可能となります。しかし、USBメモリー自体をなくす可能性があるため、銀行の金庫などに預ける方が多いです。
このハードウェアウォレットも、ハッカーが作成したものが出回っていますので、決してオークションやAmazonなどで購入せず、メーカーオフィシャルサイトから購入しましょう。この他にもペーパーウォレットなどの管理方法もあるのですが、実用的ではないので割愛いたします。
いかがでしたでしょうか。せっかく投資意欲が高まった方も、ここまで煩雑な作業の話を聞いてしまうと、投資するのが億劫になってしまうかもしれません。
ここまでのリスクや手間があっても、伸び代の大きい仮想通貨に投資しているわけですが、実のところ長期投資分だけウォレットで管理し、短期で売買している資金は取引所に預けているので、普段からそこまで手間がかかっているわけではありません。しかし短期分も盗難は避けたいので、最初に書いた自己防衛法を徹底し、1つの取引所に預けて資産を失わないように複数の取引所に分散しています。
本日はこちらまで。次回は、仮想通貨投資を始めるのに最適なタイミングについて解説します。