今回は、中長期投資の「銘柄分散」によるポジション・コントロール法を見ていきます。※本連載は、業界屈指の自己売買部門を持つことで知られる山和証券の執行役員ディーリング部長・工藤哲哉氏の著書、『百戦錬磨のディーリング部長が伝授する「株式ディーラー」プロの実践教本』(日本実業出版社)から一部を抜粋し、スイングトレードで利益を出すプロの技を直伝します。

銘柄分散では「過大な流動性リスク」に配慮を

中長期投資のポジション・コントロールは、銘柄分散をしっかり行なうことに重点を置きましょう。資金力がないうちは仕方ありませんが、収益を安定させるためにも銘柄分散は
必要です。どれだけ分析力が秀でていたとしても、予測ははずれることもあります。一つのトレードに多額の資金を投入し、それが失敗に終わったら、致命的なダメージを負ってしまいます。

 

もちろん、自信の度合いに応じて強弱をつけるのはかまいません。ただし、その偏りが過ぎると、一つの失敗がポートフォリオ全体に及ぼす影響が大きくなり、運用全体に影響を与えてしまいます。

 

銘柄分散を行なう際には、各銘柄の流動性への配慮も必要です。流動性に対するポジションのバランスが悪いと、流動性リスクを過大に抱え込むことになり、エントリーとエグジットの執行コストが上がってしまいます。

 

たとえば1000円の株価で買おうと思っても、その銘柄に一定の売りがないと、買い注文を入れたとき、株価が値上がりしてしまい、想定した株価よりも高い株価で買わざるをえなくなる分が執行コストに相当します。逆に、1000円で売ろうとしても、一定の買いがないと、売り注文が成立する株価が、想定した株価よりも下がってしまい、その分が執行コストに相当します。ポートフォリオの規模が大きくなればなるほど、流動性への配慮が重要になります。

さまざまな分析を行い、ポートフォリオを理解しておく

また運用資産規模が大きくなるほど、個別銘柄の分析だけでなく、ポートフォリオ全体をどう評価・分析するかも学んでおいたほうがいいでしょう。自分のポートフォリオは相場が変動したとき、どのような反応を示し、どのようなリスクがあるのかを把握しておくのです。

 

たとえばロングショート戦略で中長期投資を行なう場合、買いが中小型株に偏っていて、売りが代表的な大型株や株価指数だと、買いと売りのポートフォリオ特性は大きく異なります。その違いが収益源になることもあれば、リスクになることもあります。中小型株は個人投資家の、大型株は外国人投資家の市場シェアが高いので、こうした投資主体の動向が、ポートフォリオ全体に影響を及ぼすのです。

 

このように、さまざまな分析をしながら、自分のポートフォリオのパフォーマンスについて、なぜそうなったのかを理解しておくべきです。とくに、他人の資金で運用する、プロの運用者であれば、投資家への説明責任が生じるため、自分が運用しているポートフォリオの理解が必要です。

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