今回は、株式の中長期投資における「シナリオが崩れた場合」の対処法を見ていきます。※本連載は、業界屈指の自己売買部門を持つことで知られる山和証券の執行役員ディーリング部長・工藤哲哉氏の著書、『百戦錬磨のディーリング部長が伝授する「株式ディーラー」プロの実践教本』(日本実業出版社)から一部を抜粋し、スイングトレードで利益を出すプロの技を直伝します。

要因分析後、「利食い」もしくは「ロスカット」で対応

シナリオが実現し、ターゲット・プライスを達成できれば利益確定、シナリオが崩れたときはロスカットします。「評価損が何%になったらロスカットする」というようなルールは、長期保有前提の場合はあまりふさわしくありません。

 

むずかしいのは、想定外の事態が生じたときです。そこまで下がるはずがないという水準まで下がったり、そこまで上がるはずがないという水準まで上がったりしたときは、どういう対応をすればいいのでしょうか。

 

基本的なスタンスとしては、想定外の出来事は「シナリオが崩れた」という認識で、利食いおよびロスカットをするべきだと考えます。ただし、それを行なう前に、きちんと要因分析をする必要があります。自分が当初、描いたシナリオに対して、ターゲット・プライスより値上がりするだけの新しい材料があり、それに納得できるのであれば持ち続ければいいでしょうし、逆により値下がりしたとしても、それが一時的なもので、やがて水準訂正されることが想定できるなら、ロスカットしないという選択肢もあります。

分析・判断は、相場が引けた後の「冷静な状態」で行う

ただエントリーにせよ、エグジットにせよ、中長期投資の場合は、短期的な値動きをとりにいくわけではないので、分析・判断は場中の値動きで行なうよりも、相場が引けた後、冷静な状態で行なうべきでしょう。冷静な状態で分析し、それでも理解できない状態に陥っているときは、ロスカットするか、リスクを大幅に圧縮するなどの対処を、翌営業日に執行すればいいのです。

 

よほど極端な株価変動が生じない限り、あまり日々の値動きにとらわれずに、日々の分析を基に一つ一つ対処していくのが得策です。

百戦錬磨のディーリング部長が伝授する 「株式ディーラー」プロの実践教本

百戦錬磨のディーリング部長が伝授する 「株式ディーラー」プロの実践教本

工藤 哲哉

日本実業出版社

プロは何を考え、どうやってトレードをしているのか? 取引における日計り、スイング、中長期の具体的なテクニックからメンタルなど、「株式ディーラー」プロの戦略を伝授。 個人投資家にも大いに役立つ情報が満載の一冊です…

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