一人暮らしの高齢者世帯は600万を突破
超高齢社会をむかえる日本。2025年には、3人に1人の方が、75歳以上の後期高齢者となります。
人が年齢をかさねていくのは自然なことです。けれど、私が気になるのは、一人暮らしの高齢者の増加です。一人暮らしの高齢者世帯が25%となり、その数は600万世帯を突破しています。また、一人暮らしではありませんが、老老介護の世帯も30%をこえています。
核家族化がすすみ、家族関係の希薄化もすすむなかで焦点化されているのが、「高齢者の孤立化」です。
高齢者の多くは、いずれ誰かの介護を受けながら暮らしていくことになります。お子さんや親族が介護してくれる人はいいですが、身寄りのいない方、家族が離れて暮らしている方、または、さまざまな事情により、ご本人のお世話ができない場合は、どうすればいいのでしょうか?
「一人暮らしが大変なら施設に入ればいい」と言うが…
いま喫緊(きっきん)の課題といわれるのが、「一人暮らし高齢者の見守り」であり、市町村の高齢福祉課や地域包括支援センター、医療ソーシャルワーカーの方々は、日々奮闘されています。地域民生委員や社会福祉協議会の方々も、高齢者の身の回りをめぐる様々な支援に奔走されています。
私は、成年後見人として高齢者の見守り支援をおこなうことなどを目的として、NPO法人「市民後見人センターとちぎ」を、2006年に立ち上げました。
葬儀社を営み、「おくりびと」として一万人を超える方の旅立ちをお手伝いさせていただくなか、お連れ合いをなくされた「おひとり様」の身の上に生じる困難を目の当たりにしたことがきっかけでした。
「一人暮らしが大変なら施設に入ればいい」という方もおられるでしょう。けれど、老人ホームに入居するための貯えも十分になく、年金などに拠って独居で暮しておられる方は、介護が必要になったとき、認知症になったとき、がんなどを患ったとき、どのようにして、「一人暮らしで生きてゆく」ことができるのでしょうか?
介護施設の入所、入院費の支払い、「もしも」のときの身元引き受けなど、何らかの支援がなければ施設や病院に受け入れてもらえない現実もあります。
本連載でとくに私がお訴えしたいのは、そのことです。