「市民後見人センター」と契約し、今後の生活を支援
前回の続きです。
Bさん夫婦によりそい、介護支援をおこなっていた介護事業所のケアマネジャーも悩む中、地域包括ケアを担う施設のケアマネジャーより、当面は施設(小規模多機能型)でのショートステイを利用しつつ、サービス付き高齢者住宅へ、そしてグループホームに空きが出たらそこに移るというプランが提案されました。
「後見人を引き受けてもらえないか」との連絡をいただいたのは、2016年の秋も深まった11月のことでした。
施設のセンター長から、Bさんの収入は、年金と少しの貯金のみで、施設費の支払いもギリギリであるとの事情説明を電話で受けた私(大野)は、「市民後見人センターとちぎ」として、どんなサポートができるかについてお答えしました。そして、施設のセンター長およびケアマネジャー立ち合いのもと、Bさんとお会いしました。
Bさんから、ご自分の今後の生活をどうしたいかを伺いました。その希望は、
①一人暮らしであり介護が必要になったため施設に入所したい。
②病気になったら病院で治療を受けたい。その間の世話については、施設に委任したい。延命治療はしないで下さい。
③自分で判断できなくなったとき、施設の介護支援員と「市民後見人センターとちぎ」に委任したい。
④死後の葬儀・埋葬については「市民後見人センターとちぎ」に依頼したい、というライフプランでした。
[図表]Bさんの希望
継続的見守り契約および任意後見契約、死後事務委任契約等のご説明をしたのは12月。「市民後見人センターとちぎ」はBさんご本人とともに公証センターに行きました。それまでBさんの居宅介護を担当し、Bさん夫婦によりそい、その事情をよく知っている介護事業所のケアマネジャーにも同行していただきました。
Bさんと結んだ契約は、「継続的見守り契約および財産管理等委任契約」そして「死後事務委任契約」などです。これよりBさんは、小規模多機能型の施設でしばらく生活したあと、多機能型グループホームでの生活を心穏やかに過ごしておられます。
私たち「市民後見人センターとちぎ」も定期的に訪問し、Bさんと施設のケアマネジャーにお会いして、状況を見守っています。
被後見人のお金を「安全に管理するしくみ」とは?
被後見人の財産を、安全に守るにはどんな方法があるか。どうすれば金銭トラブルなどリスクが避けられるか。
これは、任意後見制度において、皆さんが頭を悩ませている問題です。
「市民後見人センターとちぎ」は、法人の任意後見人として、被後見人の生活(身上監護)とお金のこと(財産管理)にたずさわります。
財産管理においては、被後見人のお金を安全につかうしくみがなければなりません。
「市民後見人センターとちぎ」による財産管理システムのポイントは4つです。
①大きなお金は信託会社に預ける
②毎月の支払いにあてる定額以上のお金をおろさせない(銀行の定額送金システム)
③施設入居・入院・医療費などまとまったお金をおろす必要が生じたときは、かならず二社の指図権者によってチェック・認可されること
④財産管理をおこなう「市民後見人センターとちぎ」は税理士(TKCグループ所属)により年3回の監査を受ける
資産管理を専門とする信託会社と銀行の定額送金システムの利用によって、被後見人の財産の安全を担保しています。
たとえば、つぎのような例です。
[3000万円をお持ちの方]
①2000万円→山田エスクロー信託会社
②1000万円→つくば銀行
①について
2000万円を信託会社に預ける(利子は付かない。毎月2700円の手数料がかかる)
②について
1000万円を銀行に預け、「定額送金システム」を利用して毎月の必要費用(生活費・介護費・後見費用など15万円程度)を銀行から受け取る
③について
施設入居や手術、長期入院などに大きな出費が生じる場合は、「任意後見人センターとちぎ」と税理士事務所の二社の認可によって、おこなわれます。
④について
お金の管理が被後見人のため正しくおこなわれているかどうかを税理士が年3回、監査します。